2014年12月15日

IFRS金融商品会計その2(IAS39号)

前回は、IFRSのIAS32号についてみてきました。

前回の記事:IFRS金融商品会計:金融商品の表示について

今回もIFRSの金融商品会計についてみていきたいと思います。何回かに分けて、金融商品会計について体系的にまとめられたらと思います。

まず、IFRSでは金融商品に関していくつかの基準が公表されています。具体的には、以下のような基準になります。

  • IAS32号:金融商品の表示について
  • IAS39号:金融商品の認識と測定について*
  • IFRS7号:金融商品の開示について
  • です。上記の内容をひとつひとつ見ていくことで、IFRSにおける金融商品について体系的に理解できると思います。

    *現在はIFRS9号が発表されて、IAS39号の内容がアップデートされた形になっていますが、今回は体系的に説明するためにまずは上記の3つの基準を順番に説明していきたいと思います。IFRS9号の説明も(自分での勉強が終われば)後ほど加えたいと思います。

    上記の中から、今回はIAS39号についてみていきたいと思います。このIAS39号は非常に複雑な基準になっているので、複数回に分けてみていきます。

    IAS39号:金融商品の認識と測定について

    IAS39号は、金融商品の認識と測定についての会計基準となっています。中でも重要な内容として、金融商品を認識する際の分類、当初認識時の測定、当初認識後の測定、認識の中止へのステップ、そして減損処理などがあげられると思います。今回は、金融商品の分類についてみていきます。

    金融商品の分類

    IAS39号では、金融商品を下記のように分類するように求めています。

  • 純損益を通して公正価値として測定するもの
  • 満期保有目的投資
  • 貸付金および債権
  • 売却可能債権
  • の4種類となっています。では以下で、それぞれの分類について説明していきます。

    純損益を通して公正価値として測定するもの

    こちらに関して、僕なりに訳してみましたが、原文ではFair Value Through Profit or Lossとなっています。「損益を通した公正価値」というのが一番単純な日本語かもしれません。

    では、こちらの純損益を通して公正価値として測定するものに分類されるのはどのような金融商品なのでしょうか。IAS39号では、以下のような金融商品は純損益を通して公正価値として測定するものとしています。

    →売買目的・トレーディングに分類されるもの
    こちらは近い将来に売却、もしくは買い戻す目的で取得したものになります。日本でいう売買目的有価証券がこれにあてはまると思います。

    →当初認識の際に、この分類に企業が指定したもの
    一般的にいう、「公正価値オプション」と呼ばれるものです。企業が、金融商品を取得するときに「あ、この商品は公正価値で認識します」とすれば今後その商品は純損益を通して公正価値で測定されます。

    満期保有目的投資

    満期保有目的投資に分類される金融資産とは「一定、もしくは決定が可能な支払金額」と「一定の満期」を有する金融資産であり、企業が満期まで保有するという意図と能力を有するものになります。

    ただ、上記の条件をすべて満たすものは全てこちらに分類されるということではなく、のちに説明する「貸付金および債権」の定義を満たしたものや、上記で説明した「純損益を通して公正価値で測定する」と企業が決めた(つまり公正価値オプションを選択した)ものは満期保有目的投資と分類することはできません。

    当然ながら、上記条件を満たさない、例えば保有する期間が定まっていない金融資産(株など)や企業がいつでも金融商品を売却する準備をしている場合(資金の需要や市場の条件などによって)も、こちらの分類は不可能となります。

    貸付金および債権

    すでに会計に慣れた日本の方にとっては、こちらの分類があることは意外かもしれません。日本では貸付金や債権などはその法的形態によって分類されるからです。ただ、IFRSではこちらの分類を以下のように定義しています。

    支払金額が固定、もしくは決定が可能な金融資産のうち、活発な市場の高評価価格がないもの。ただし、以下に該当するものは除くとしています

    ・「純損益を通して公正価値で測定するもの」に該当するもの、または指定したもの
    ・「売却可能金融資産」に指定されているもの(後ほど説明)

    となっています。日本では貸付金や債権というものは、その法的な形態によって分類がきまるのですが、IFRSでは、上記の定義を満たすものはたとえ法的形態が貸付金や債権じゃなくても、「貸付金および債権」に分類される可能性があります。例えば、全く市場性がない社債を購入した際に、その社債が貸付金および債権の分類になるということも考えられます。

    売却可能金融資産

    最後に、売却可能金融資産について説明します。IFRSでは、下記のように定義されています。

    金融資産のうち、「当初に認識される際に売却可能金融資産と指定された」もしくは下記の金融資産に分類されない金融資産のこと

    ・「純損益を通して公正価値で測定されるもの」
    ・満期保有目的投資
    ・貸付金および債権

    つまり、会社が売却可能金融資産と指定する、もしくは他の分類に分類されない場合、こちらの分類ということになります。USCPAの勉強をされている方はAvailable for saleの分類でおなじみかもしれません。直訳で売却可能ですね。

    以上で、IAS39号の金融商品の認識と測定について、に関して、分類の説明を終わります。次はこれらの分類の変更という点について書いていきたいと思います。

    次の記事:IFRS金融商品会計:金融商品の分類の変更

    ではでは


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    posted by 鈴木明 at 07:49 | [IFRS(国際財務報告基準)] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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