2015年01月25日

パリバ・ショック

今更金融危機を振り返ってみる企画、前回はサブプライム問題についてみてきました。

前回の記事:サブプライム問題

今回は、サブプライム問題の次の段階である、パリバ・ショックについて書いていきたいと思います。

パリバ・ショック

サブプライム問題や、今後に記載しようと考えているリーマン・ショックについては、内容はともかくとして、ほとんどの日本人が知っている単語になっていると思います。しかし、今回に書こうと思っているパリバ・ショックについては、上記の2つに比べて知っている日本人は少ないのではないでしょうか。僕もこの問題について知ったのはサブプライム問題とリーマン・ショックよりずいぶんと後の話です。

では、そのパリバ・ショックとはいったい何なのか。内容と影響だけと書くと、内容としてはフランス大手金融グループのBNPパリバが、自社が持つファンドが扱っていた金融商品(サブプライムローンが証券化されて組み込まれている)の一部に対して、解約や返金などを一時停止することを発表したことであり、その影響として、それまでじわじわと世界中に積もっていた証券化商品に対する不安が爆発することになります。では、そこまでに至る過程をざっくりとみていきたいと思います。

<不安がじわじわと増大>

前回の記事のサブプライム問題が発生したのち、米国のノンバンクが破産するなど、少しずつ不安が積もり始めます。そんな中、米国の投資銀行であるベア・スターンズが持つファンドが巨大な損失を計上します。さらに、そのファンドに対して担保を取り資金を貸していた米国の投資銀行であるメリルリンチが、その担保の処分を行うという一連の流れが歩道され、市場にさらなる不安が積もることになります。ベア・スターンズが持つファンドは損失を計上しただけですが、それ以外のヘッジファンドたちは破たんしたり、持っていた資産を大きく処分したりする必要が発生します。それらのファンドが投資していた主な商品が、以下になります。

サブプライムRMBS:サブプライムローンを証券化したもの。RMBSはResidential Mortgage Backed Securityの頭文字で、日本語で住宅ローン担保証券と呼ばれる。ものすごく単純に言うと、サブプライムローンを利用して住宅を購入した人が支払う金額を受ける権利を一旦ひとまとめにしたのちに、その受け取る権利をバラバラ(証券化)にして商品にし、投資家にばらまいたもの。

CDO:Collateralized Debt Obligationの頭文字で、日本語にすると債務担保証券と呼ばれる。ものすごく単純にいうと(ややこしくなりますが)、上記のサブプライムRMBSの様々な種類を受け取る権利を一旦ひとまとめにしたのちに、その受け取る権利の合計を再度バラバラ(証券化)にして商品にし、投資家にばらまいたもの。サブプライム証券化商品の証券化商品です。頭が痛くなりますね。ちなみに始めたのは後ほど出てくるベア・スターンズという投資銀行らしいです。

つまり、サブプライムに関連する商品に投資していたファンドたちが次々と損失を計上しはじめたのです。これにより、投資家たちの不安がさらに積もることになります。ところが、これはまだ米国の話であり、世界中の問題には至っていません。そして、これに続くように新たな問題が発生します。

<格付機関による格下げ問題>

サブプライムローン証券化商品の価格が下落したことにより、上記のように様々なヘッジファンドに損失が発生しました。それに伴い、格付機関が、サブプライムローン証券化商品の格下げや、格付けの見直しを行うことを発表しました。

格付機関とは、S&P(スタンダード&プアーズ)やムーディーズといった事業体であり、金融商品に関しては、安全がどうかなどを調査して、安全であれば「AAA」などの格付けを行っています。つまり、格付機関が、サブプライムローン証券化商品に対して、それまでより危険と呼ばれるランクまで格付けを下げ始めたということです。僕から言わせてみれば、損失が発生し始めた段階で格付けを変更するのであればだれでもできると思うのですが、まぁそのあたりは置いとくとして、とにかくサブプライムローン証券化商品の格付けが下げられることになりました。

それにより、ただでさえ価格が下落していたサブプライムローン証券化商品の価格がさらに下落することになります。すると、格付機関がそれのあとを追うようにさらにサブプライムローン証券化商品の格付けをさげることになりました。そして、その格下げは更なる価格の下落を発生させるというスパイラルに陥ったのです。そしてその流れは、サブプライムローンに関係ない、つまり優良な貸付であるプライムローンを証券化した商品にまで及んでいくことになります。そして、ついにグローバルな影響がじわじわと発生し始めることになります。

<ドイツでの銀行経営危機>

それまではアメリカでの問題であったサブプライム問題ですが、ついにヨーロッパ大陸でも影響し始めます。ドイツのデュッセルドルフに本社を持つ、中小企業に融資を行う専門銀行であったIKBドイツ産業銀行が、サブプライム関連投資によって巨額の損失を発生させました(最終的にはアメリカの投資会社ローンスターに買収される)。このことにより、以下の問題が浮き彫りになりました。

1:サブプライム問題は世界中にある可能性があること
今までアメリカでの問題であったはずのサブプライム問題が、気が付けばヨーロッパ大陸にまで影響を持つようになっていました。

2:「銀行」にまでその影響が及んでいること
これまで損失を計上したり、破産したりしていたのはヘッジファンドやノンバンクなどの、そこまで規制が厳しくない業界での話でした。しかし。ここにきて規制が厳しいとされている「銀行」の(さらにいえば、堅実なイメージをもつドイツの)損失となりました。

これにより、投資家たちにさらなる不安が蓄積されることになりました。ただ、IKBドイツ産業銀行が当時、投資したサブプライム関連商品は、格付機関により「AAA」つまりもっとも安全だという最高級の格付けを受けていました。

余談になりますが、僕が財務部で働いていた際に(サブプライム問題より後の話です)、余剰資金を投資する際に取締役の意見を聞いたのですが(実質は上司が聞いてそれを僕が聞いた状態です)、投資の判断基準には「格付けが○○以上」というものが入っていました。ということは上記のサブプライム関連投資商品が金融機関より提案された場合、それを購入に至っていた可能性はゼロではないということです。僕は商品の説明書を見るのが好きでしたので、もし検討するとなればじっくりとみることになったと思いますが、はたしてサブプライムの危険性に気が付けたかどうかは微妙です。

と話がそれてしまいましたが、ドイツの銀行が損失を出したということで、また不安が増大することになりました。そして、そのタイミングで、パリバ・ショックが発生します。

<パリバ・ショックの発生>

2007年8月9日、フランスの大手銀行BNPパリバが、傘下のヘッジファンドの一部投資信託(サブプライムローン証券化商品が組み込まれている)の価格の算出、新規募集、解約、返金を凍結すると発表しました。ちなみにBNPパリバは、世界規模に大きい金融機関です。これにより、市場関係者たちは一流の金融機関が手におえないような商品なのかと、今まで蓄積されていた不安が一気に爆発することになりました。

これが原因で、サブプライムローン証券化商品に手を深く突っ込んでいた投資銀行から次々と問題が発生します。次回は、その金融危機がどうして発生するのかについて書いていきたいと思います。

次の記事:金融機関破たんの発生プロセス

ではでは


posted by 鈴木明 at 22:06 | [金融] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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