2015年01月31日

監査法人はどうあるべきか(仮)

昔、事業会社で働いていたころ、先輩に公認会計士の人がいました。厳密にいうと公認会計士試験合格者であり、3次試験を受けて合格であれば公認会計士として登録されるということでした。

その先輩が公認会計士に関して様々なことにお金が必要になり続けるので(予備校代、登録費、どんどん新刊がでる監査六法など)、マジでありえないとひたすら愚痴を言っていたのを思い出します。結構プライドが高い人で、不景気でなければ絶対に4大監査法人に行っていた、ということや、受験生時代に内定が出たけど試験に落ちてしまったことなどをひたすら自慢されました。はたしてあの先輩は元気なのでしょうか。USCPAの僕が4大監査法人に転職したと知ったら、どんな反応をするのでしょうか。

あの先輩であれば、今ならサクッと4大監査法人に転職できると思うのですが、いかんせん英語力の低さがとんでもなかったので、そのあたりの問題になりそうですね。

と前置きはこの程度にして、今回はその先輩が僕に質問してきた、監査法人についての話を書きたいと思います。題して、監査法人はどういうシステムであるべきか。

監査法人は、いうまでもなくクライアントからお金をもらうことによって成り立っています。クライアントからお金をもらって、財務諸表を監査するのです。そして、その財務諸表をチェックして、意見を表明するのが仕事となっています。

すなわち、本質的にクライアントに強く言えない立場なのではないかという話になります。アメリカではエンロンという会社に監査をしていた監査法人の公認会計士が、粉飾に加担していたとして、監査法人が処罰を受けて一気に解体してしまうという事件もありました。

その先輩曰く、ではどうすればよいのか、という論文があったというのです。監査法人のシステムはいかにあるべきか。鈴木君はどう思う?と普通に聞いてきたのを覚えています。

その時は、「監査自体を国がやればいいんじゃないですか(つまり公認会計士を公務員にするみたいな感じ)」とか、「監査法人の監査法人を作ればどうですか」とか結構適当に答えた記憶があるのですが、実はその質問がずっと僕の中に残っていました。果たして監査法人はどうすれば公正な立場から、適正でない場合は適正でないとクライアントに強く言えるのかを考えていました。

最近になって、おぼろげながらこうすればどうだろうと思うことがあるので、備忘としてこちらに記録しておくことにします。まぁ実態はただの思いつきレベルです。

それは「監査法人をビッグ2にする」ということです。今ある監査法人をほとんど統合して、例えば「北西監査法人(仮)」と「東南監査法人(仮)」にわけるということです。

<監査法人が押し込められる原因>

なぜビッグ2なのかの前に、どうして監査法人がクライアントに強く言えないのかの理由を考えてみました。様々な本を読んだのですが、僕の予想ではお金の問題だと思います。お金です。場合によっては「監査法人が不適正とした会社が上場廃止になり、信用を失い倒産して周囲に迷惑がかかるから」などとキレイごとを言っているパターンもありましたが、それも突き詰めれば結局はクライアントが上場廃止して自分がもらえる報酬が減少するからというお金が原因だといいう結論に結びつくと思います。

なぜお金なのか。それはもちろん監査法人の収入源がクライアント先からとなっているからです。そのそのため、クライアントが「監査法人を変えるよ」と脅しをかければ、小さい監査法人などは全く身動きが取れなくなると思います。調べたら結構出てくるのですが、日本に存在するグローバルな企業に、非常に小さな監査法人が監査をしているケースは普通にあります。全ての大企業を4大監査法人のうちのどれかが監査を行っているわけではないのです。

例えばあらた監査法人は、僕の予想ですがトヨタとソニーなどの小規模なグローバル企業によって成り立っているところがあるので、もしそれらのグループに監査法人を変更すると脅されれば、意外に動揺するかもしれません。もしかしたら収入源を多角化していて問題ないのかもしれませんが。

他にも、軽自動車で有名なスズキも、監査法人は清明監査法人という数十名の規模の監査法人が行っています。例えばスズキが監査法人を変更すると言えば、清明監査法人の業務はたちどころに停滞してしまうと思います。

元中央青山監査法人の地方事務所がそのまま名称を変更して監査法人として業務を行っているところは、比較的中小規模の監査法人が大企業の監査を行うという形になっているパターンが見受けられます。

このように、クライアントと監査法人の力関係が完全にクライアント側にあるパターンが存在するため、公認会計士の高い給料を支払うために少しの不正に目をつむるということがありえると思います。

そこで、僕がふと思ったのが上記の「ビッグ2」という考えなのです。それは、今ある監査法人の全てを2つの陣営に分けて(この時点で実現可能性がほぼ0ですが笑)、それぞれにしっかりした管理部門や取締役を設置するということです。

つまり、今ある監査報酬をすべて2社に集約して、そこから各事務所に分配するという形をとります。これにより、以下のメリットが発生します。

・クライアントに強く意見が言える

まず、クライアントを失っても監査法人が受け取る監査報酬全体から見ればほとんど影響が出ない状態になるため、クライアントに対して卑屈になる必要がなくなります。しっかりと財務諸表を監査することができ、もし不正を発見した場合は、軌道修正するように指摘することができます。

・クライアントの不正が減少する

不正をしたクライアントに対して、監査法人がすぐに指摘を続けていれば、会社としては不正を行って上場廃止になるより、さっさと不正をただした方が合理的という流れになるはずです。不正をすれば監査法人に見つけられた場合、直ちに上場廃止してしまい、市場での信用を一気に失墜してしまうからです。

・内定先に妙なプライドを持たなくなる

公認会計士という試験を突破したのにも関わらず、その後にどこに内定が出たかで不毛な争いをしている人を見かけます。どこどこの監査法人よりどこどこの監査法人のほうが優れている、といった具合です。僕もできる限り大きな監査法人で働きたいと思っていたので人のことは言えないのですが、2つの監査法人に集約することにより、このような争いはなくなります。試験に突破して監査法人で働きたい人はどちらかの監査法人を選べばよいのです。

以上3つ、さっと思いついた案のメリットをあげてみました。給与のことや人材の配置、公認会計士合格者数など、様々な障害が考えられると思いますが、財務諸表の信頼性を確保し、資本市場の発展を図るという監査法人の本来の目的のみにフォーカスするとすれば、今の状態よりはマシな気もします。

監査法人の本質にかかるこの問題は永遠に続くと思いますが、何か解決策はあるのでしょうか。そして、あの先輩は何かの答えにたどり着いたのでしょうか。今度連絡でもとってみようかな。

ではでは


posted by 鈴木明 at 18:54 | [徒然日記] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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