2015年02月02日

ベア・スターンズと投資銀行

今更聞けない金融危機、今まではサブプライム問題の発生から問題の本格化のトリガーとなるパリバ・ショック、そしてどうして金融機関が破たんするのかということまで見てきました。

サブプライム問題
パリバ・ショック
金融機関破たんの発生プロセス

今回は、ベア・スターンズに破たん危機と投資銀行について書いていきたいと思います。

<深まるサブプライム関連商品の損失>

パリバ・ショックによって、世界中の投資家たちがサブプライム商品というものが実は非常に危険な商品だということを理解しました。もはや、金融機関が発表する決算の数字も嘘ではないかという雰囲気になっていきました。

当然、次はどこの金融機関が危ないのか、という話になります。様々な金融機関がある中で、普通の預金を資金調達の手段として持っている「銀行」はまだ安全度が高いとみなされます。では、初めにどこが危ないと思われるのか。それが資金調達を短期借入に依存するビジネスモデルである「投資銀行」です。

<投資銀行>

そもそも「投資銀行」とは一体何なのか。当時の日本でいう「証券会社」に近い形態の会社なのですが、日本の「証券会社」が株式の売買を仲介し、そこから仲介手数料を得るのがメインなのとは少し違います。以下に、投資銀行の収入源について書いていきます。

・投資銀行の業務
・M&A
M&Aのアドバイス業務を行い、その手数料で儲けることです。一般的に、事業会社が他の企業を買収しようとした際に、財務的な視点や法律的な視点、または他の会社の価値評価や資金調達など、様々な情報が必要になります。そこにアドバイザリーとしてサポートを行い、その手数料収入を得る手段となります。

・引受業務
企業が株式や債券を発行する際に、一旦すべてを引き受ける業務になります。事業会社が資金調達を行う際に、株式の発行を行ったり、社債の発行を行ったりしますが、その際にアドバイザリーとしてサポートを行い、手数料の収入を得ます。

・トレーディング
自己資金や投資家から借り入れを行い、そのお金を投資して運用します。例えば株式投資を行い、投資した株式が値上がりして売り抜ければ儲けです。

他にも多くの業務を行っているのですが、基本的には事業会社の資金調達やM&Aのアドバイザリーを行って手数料収入を得るのがビジネスモデルの会社でした。ところが、リーマンショックのころまでには、最後に書いた「トレーディング」業務が大きなポジションを占めることになります。

<投資銀行による投資>

投資銀行は、収入拡大を図る中で、次第にサブプライム関連商品にも手を伸ばしていきます。特に、当時業界5位であったベア・スターンズと4位であったリーマン・ブラザーズは、3位以上の投資銀行との差があまりにも大きいため、追いつくために少しでももうけを出そうとハイリスク、ハイリターンのサブプライム関連商品へ大きく投資することになります。さらに、投資銀行は自分で持っているお金だけを投資するのではなく、他から借り入れてそのお金も投資し、利益を上げていました。これがレバレッジというものです。

・レバレッジ
ここで、軽くレバレッジについて説明します。例えば、A投資銀行が100万円を持っているとします。それを全てサブプライム商品Zに投資して、10%の値上がりがあったとします。

100万円×1.1=110万円

となり、10万円の儲けです。これが、もし自分が持っている100万円に加えて、900万円を借り入れて合計1000万円にするとします。それを全てサブプライム商品Zに投資しておいたとすると

1000万円×1.1=1100万円

となり、なんと利益は100万円になります。借りた900万円を返しても、200万円残り、元本が倍になったことになります。これがレバレッジ効果です。

ベア・スターンズやリーマン・ブラザーズを筆頭に、金融機関はこぞって借り入れを行い、そのお金をサブプライム関連商品に投資していました。そのお金はどこから借りていたのか。それが、短期金融市場だったのです。そして、その短期金融市場に依存していた投資銀行、なかでもサブプライム関連商品に大きく投資をしていたと考えられていた上記の2社が、「危ないのではないか」と考えられるようになりました。

前回で説明した通り、金融機関で「危ないのではないか」と考えられる会社は致命的です。まず、短期金融市場に資金調達を依存しながら、サブプライム関連商品を大きく保有していた、ベア・スターンズが標的となりました。ベア・スターンズは「レポ取引」という短期金融市場に資金調達を依存していました。

<レポ取引とは>

簡単にいうと、自社で持っている債券などを担保として差し出し、お金を借りる取引のことです。ベア・スターンズはこの仕組みを利用し、メインの資金調達を行っていました。

<ベア・スターンズの危機>

しかしながら、市場ではベア・スターンズが危ないというウワサが発生してしまいました。なぜなら、ベア・スターンズのポートフォリオ(何に投資しているのかという割合)は、証券化商品の割合が大きかったからです。そして、市場ではベア・スターンズが破たんするという風潮になり、前回のような対応が始まります。例えば、以下のようなことです(あくまでも例です)。

A銀行「あ、ベア・スターンズさん?この担保だと、貸せるのは1億円までですね。」

ベア「え、前回はこれで2億円も貸してくれたじゃないですか。。。」

A銀行「ま、ウチにもいろいろあるんですよ。」

ベア「まずい。現金が。。。」

あくまで仮の話ですが、以上のように、担保を出しても借りられる金額が少なくなったり、そもそも他の金融機関の内部でベア・スターンズに対して貸し出せる現金の上限が低くなったりしました。

こうなれば、どんなに大きい金融機関でもどうしようもありません。メインの資金調達市場である短期資金市場から資金を調達できなくなったベア・スターンズは、とうとう倒産直前まで追い詰められました。

しかし、このような巨大な金融機関は、あまりにも大きいため、倒産すると非常にマイナスの影響がでかくなります。そのため、政府が救済するだろうと思われています。これを

「Too big to fail(大きすぎてつぶせない)」

といいます。ベア・スターンズが倒産する直前にも、アメリカ政府は米国の大手銀行であるJPモルガンチェース銀行に、ベア・スターンズを買収させました。そして、そのJPモルガンチェース銀行に政府が約3兆円融資しました。

政府

JPモルガンチェース銀行

ベア・スターンズ

といった流れです。どうして直接ベア・スターンズを救済しなかったかというと、当時のアメリカの法律では、直接投資銀行を救済することができないようになっていたためです。土壇場でよくこんな方法を選べるなぁと感心してしまいますが、これにより政府への市民の感情は悪化したと思います。自分たちの税金が、わけのわからないことをやって稼ぎまくっていた投資銀行を救済されるために使用されるのですから、それはいい気がしないですね。

しかしながら、政府としては金融危機を乗り切ろうと、懸命に対応していました。ところが、そんな努力もむなしく、とうとうリーマン・ブラザーズが破たんしてしまいます。今回は長くなったので、次回にそのあたりのことを書こうと思います。

次の記事:リーマンショック1

ではでは


posted by 鈴木明 at 23:43 | [金融] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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