2015年02月08日

リーマンショック2

今更聞けない金融危機、これまではサブプライム問題から、リーマン・ブラザーズの破たんまで見てきました。

サブプライム問題
パリバ・ショック
金融機関破たんの発生プロセス
ベア・スターンズと投資銀行
リーマンショック1

今回は、リーマン・ブラザーズの破たんと同時期に進行していた別の問題から、リーマンショックの影響について書いていきたいと思います。

<AIG危機>

リーマン・ブラザーズが破たんへと突き進んでいたのと同時に、実はアメリカ1位の保険会社のAIGにも危機が迫っていました。ここにきてなぜ急に保険会社が?となるのですが、AIGが行っていた保証に問題がありました。クレジット・デフォルト・スワップ、頭文字をとってCDSです。

CDSをどのようなものか簡単に説明すると、例えばA銀行がB企業にお金を貸し出します。そしてB企業がA銀行に対して後日に借りたお金の返済を行うという一連の流れがあるとします。A銀行にとっては、B企業が将来本当に返済してくれるのかが未確定なわけです。その返済(支払)をAIGが保証します、というものです。もちろんそれに対しての対価は必要になります。このAIGに対するA銀行からの対価支払は、B企業がつぶれる、つぶれないに関わらず支払われます。つまり、AIGにとってみればB企業がつぶれなければいくらかは丸儲けできるということです。

AIGはその保証を、サブプライム証券化商品の支払に対して行っていました。「もしサブプライム証券化商品の支払がされなかった場合、代わりにAIGが支払います。ただし、保証料として元本の1%をもらいます。」といった具合です。リーマン・ブラザーズがダメージを受けたサブプライム証券化商品の保証を行っていたので、これらの支払が膨大になり、AIGの支払能力も危険なのではないか、というウワサが広まっていたのです。そして、リーマン・ブラザーズが破たんしたのと同じ15日、AIGの格下げが行われました。

ただ、AIGは普通の保険会社として非常に多くのアメリカン人に保険を提供していました。この会社が倒産するということは、アメリカ人に対する影響も非常に大きいことを意味します。AIGの格下げが発表された翌日16日、アメリカ政府はAIGを救済することを発表しました。アメリカ政府がAIGの約80%を取得し、中央銀行であるFRBから9兆円の融資が行われることが決定したのです。これにより、CDSは無事に決済されるだろうという見方になりました。

投資銀行が次々と倒れていく中、残る標的はアメリカ2位のモルガン・スタンレーと1位のゴールドマン・サックスになりました。そこで、これら2社は9月21日にそれぞれの持株会社を銀行持株会社に変更しました。なぜなら、投資銀行である限り政府からの救済を受けられない法律であったためです。この変更によって、いつでも銀行として政府からの支援を受けられるようになりました。

ここまでの流れを見ると、リーマン・ブラザーズだけが破たんしなければならなかったのはなぜか、僕は不思議になります。ここまでで危機に陥った金融機関は、基本的に救済されていますが、どうして破たんすると非常に大きな影響を及ぼすリーマン・ブラザーズだけが見捨てられたのか、どうしてもわからないのです。どうせ破たんさせるなら全部の金融機関を見捨てるべきだったと思いますし、救済するのであればすべて救済すべきだったと思います。以下、リーマン・ブラザーズの破たんによって、影響があった例を記載していきます。

<リーマンショックの影響>

イギリス:HBOSが危機→ロイズTSBにより救済合併
アメリカ:ワシントン・ミューチュアルが破たん→JPモルガンチェースが買収
ドイツ:ドイツ・ヒポ・リアルエステートが危機→救済
ベルギー:デクシアが危機→ベルギー、オランダ、ルクセンブルク(ベネルクス三国)が救済
ベルギー:フォルティスが危機→ベネルクス三国が救済
アメリカ:ワコビアが危機→ウェルズ・ファーゴが買収
アイスランド:国内の全銀行を国有化
日本:ニューシティ・レジデンス投資法人が破たん
日本:大和生命保険が破たん

などになります。また、公的資金という名の税金が下記のように投入されました。

バンク・オブ・アメリカ:4兆円超
シティグループ:4兆円超
ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド:3兆円超
ウェルズ・ファーゴ:2兆円超
JPモルガンチェース:2兆円超
フォルティス:2兆円超
ゴールドマン・サックス:約1兆円
メリルリンチ:約1兆円

などになります。他の国の投入された税金を考えると、もっと大きな金額になります。これだけの税金を投入することによって、金融危機は少しずつ収束に向かっていきましたが、ダメージを負った金融機関が実態経済に与える影響もまた大きく、世界経済は不況になっていきました。

<世論>

この金融危機とそれに伴う不況によって、金融機関への世間の目は大変厳しいものになりました。それはそうですね。一般の人は普通に働いている間に、金融機関の人は怪しげな商品を発明しては世界中に売りさばき、とんでもない年収を得ていたのです。さらに、金融機関の人たちがピンチになると今度は普通に働いていた人たちの税金で救済され、そこから始まった不況により普通に働いていた人たちがクビになったり給料がカットされたり、普通に考えて許される状況ではありません。

この状況を打開するために、金融機関に対して更なる厳しい規制をかけろという流れになりました。さらに、もう二度とこのような問題にならないような体制を作り上げようとする動きが始まりました。リーマンショックを経て、世界的な金融規制が始まったのです。

次回は、リーマンショックの後に、世界がどのような動きになったのかについてみていきたいと思います。金融危機関連の記事が思ったより長くなってしまいましたが、いよいよラストになりそうです。

次の記事:リーマンショックその後

ではでは


posted by 鈴木明 at 16:16 | [金融] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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