2015年02月15日

志望理由の書き方

この前、本屋とカフェが一緒に営業しているところで勉強していたのですが、そこに就職活動を行っているのであろう学生が、慣れないであろうスーツ姿で登場しました。

僕が本棚の会計の箇所を、何かおもしろそうな本はないかとみていたのですが、その学生と思われる人は就職活動コーナーで様々な本を手にとっては戻し、手にとっては戻しを繰り返していました。見るからに不安そうな状態でした。

その光景を見て、とても懐かしい気持ちになりました。自分も大学生の時には慣れないスーツを着て、せっかく大学まで進学したのにどこにも就職できなかったらどうしよう、と非常に不安を抱えて毎日を過ごしていたのを覚えています。

今であればいろいろ当時の自分にアドバイスができるのですが、過去に戻るわけにもいきませんし、上記のような学生に、急に話しかけてアドバイスをしても、僕が不審者と思われるリスクが非常に高くなります。

なので、このブログで、ひっそりと就職活動を行っている学生を応援することにします。当時の僕のような不安を抱える就活生に届けば良いのですが。

<よくある悩み>

就職活動を行っている人が良く持つ悩みとして、「志望理由で、どうしてその業界か、そしてどうしてその業界の中でもその会社か」というものをハッキリさせろ、というものがあります。

当時の僕は、業界をほとんど絞らずに就職活動していました。むしろ、業界というよりは「有名企業かどうか」、「グローバルかどうか」で会社を選んでいました。このような例を出して申し訳ないのですが、実際には結構多くの人が、会社が有名か、といった漠然とした方針で就職先を決めていると思います。今の僕はそれをそこまで悪いとは思いません。最低限自分の考えがあってその選択をしているのでされば、問題はないと思います。

少し話がそれましたが、そのようにあまり業界を絞らず様々な企業を受けると、「なぜその業界なのか」までは何とか理由が考えられるにしても、「なぜその企業なのか」という問いが困難な壁になってきます。他の企業との違いなんてわからないよ、という苦しみが発生します。僕も就職活動を始めてすぐの時はそうでした。

そんなあなたに朗報です。その企業が他の企業とどのように違うのかを一瞬で理解することができる方法があるのです。僕はその方法で、どんどん企業の差別化情報を洗い出して、志望理由や質問を作成していきました。

<IR情報>

それは企業サイトのIR情報(投資家向け情報)に書いてあります。企業によってIRページの中身が違うのですが(例えば情報の有無や強弱)、中でも就職活動生が活用してほしいのが、「決算説明資料」になります。これは「個人投資家の皆さんへ」的なページや、「説明会」的なページにあることが多いです。ただ、企業によって違う作りのサイトなので、いろいろIRページの中を探してみてください。

例えば、(僕にはこのランキングの存在理由がわかりませんが)就職人気ランキングでダイヤモンド就活ナビ2015にて、1位の人気になっている「住友商事株式会社」の情報を具体的に見ていきましょう(2015年2月現在)。まず「住友商事 IR」と検索をかけます。すると大体住友商事のIRページがトップに出てくるので、そちらにアクセスします。(出ない場合は、普通に住友商事の企業ホームページから、IR(投資家情報)と書いていあるところをクリックすれば大丈夫です。)

すると、なじみのない人には意味不明な情報がたくさん並んでいるページになるのですが、この中から「説明会」という箇所の「個人投資家説明会」という箇所をクリックします。そこに、「プレゼンテーション資料」というPDFファイルがあるので、そちらを確認します。

すると、住友商事が個人投資家へ向けた自社の説明会の資料を見ることができます。これは、住友商事自身が他社とどのように差別化を図っているかを投資家に向けて説明している資料なので、非常に多くの情報を得ることができます。会社自身が、強みを強調してプレゼンを行っている資料なので、どこが他社と違うのかがわかりやすいのです。逆に、この資料を見ても何が強みか、何で差別化できているかがわからない企業は危険です。この中から、「シェアNo.1」であったり、ビジネスモデルであったり、使えそうな情報をピックアップしていきます。住友商事は中々おもしろそうなことをやっているみたいですね。

これらの情報を使うと、割と簡単に志望理由を書くために必要な情報を得ることができます。例えば、同じような情報を他の総合商社からダウンロードして、全てを比較することによって、各社がどこに強みを持っていて、今後はどの分野に投資しようとしているのかが一気に俯瞰できます。ただ欠点は、この情報を提供していている企業と、そうでない企業がある点です。投資家との関係が必要になった現在、このような情報を提供しないのは致命的だと思うのですが。

<有価証券報告書>

もう一点、就活生に活用してほしい情報があります。それは「有価証券報告書」になります。これもまた、IR情報のページから見ることができます。先ほどの住友商事の場合だと、「IR資料室」の「有価証券報告書」というところでみることができます。

中には数種類の書類があるように見えるのですが、必要なのは年度末に出す「有価証券報告書」のみです。「四半期報告書」というのはそこまで見る必要はありません。例えば、住友商事の場合2013年のページまで行き、「有価証券報告書」を見るようにしましょう。これが一番情報を織り込まなくてはならないものと決まっているからです。「四半期報告書」では、簡易な情報しか得ることはできないので、見てもほとんど時間の無駄です。

さて、有価証券報告書には膨大な情報が入っています。住友商事の2013年度のものは、178ページもあります。これを全部見ていると企業分析している間に就活が終わってしまうので、必要な情報だけをさっさと抜き出していきましょう。

<第一部 企業情報>

まずは企業情報の箇所から必要な情報をピックアップしていきます。個人的には企業の概況などで、つぶれそうな企業かどうかを判断してほしいのですが、そんなことする余裕がないという人の場合は「営業活動によるキャッシュブロー」の箇所だけを見てください。ここが△(つまりマイナスということです)になっている会社は危険です。営業していたらお金が減っていました。ということなので、これが続けばそのうち倒産します。「投資活動によるキャッシュフロー」と「財務活動によるキャッシュフロー」は、△(つまりマイナス)でも問題ではない場合が多いです。*安全性の判断は自己責任でお願いします。

そして、続けて「沿革」や「事業の内容」、「関係会社の状況」で会社のことをざっくりとつかみます。これは上記の「説明会」の資料とかぶる箇所も多いと思います。そして重要なのが「従業員の状況」です。ここで、「平均年齢」と「平均年収」を知ることができます。2014年3月31日の有価証券報告書によると、住友商事の平均年齢は42.7歳で平均年収は1,300万円。。。た、高い。。。他にも、事業セグメントの名称の箇所で、どの事業分野に一番人員を投入しているかなどを知ることができます。つまり、会社が注力している分野ですね。住友商事は各分野にまんべんなく人員を投入していますが、メディア・生活関連の比率が高いですね。

そして、続く【事業の状況】の【業績等の概要】で会社の状況をざっと理解することができます。ここの内容も会社や業界によって全然違います。しっかりと記載しているところもあれば、あっさりと書いてあるところもあります。ここを読み込み、会社の状況を深く理解しましょう。

僕が個人的に就活生にとって重要になると思う箇所が、上記の次の【販売の状況】ではなく、その次にくる、【対処すべき課題】と、その次の【事業等のリスク】です。ここに、今の会社が抱えている課題が記載されています。会社によっては、もっと海外売上の比率を高める必要がある、であったり、会社が抱えるリスクであったりが書かれています。ここを利用することによって、「この会社にとって何が足りないか」を知ることができます。会社によっては、ここに直接「どのような人材が必要か」を書いてある場合もあります。

つまり、この「会社にとって足りない箇所」と「自己PRの内容」を関連付けて準備を行うわけです。言い換えると、会社が注力する(している)方向性と、自分の方向性を合わせて準備を行うわけです。住友商事の場合、中期経営計画に非常にこだわっている点がうかがえます。【対処すべき課題】の箇所には、中期経営計画の中の「事業投資マネジメント力の強化」、「海外地域組織の基盤強化」、「財務健全性の維持」、「求められる人材の育成と活用」という点が挙げられています。

この時点で、「サークルや部活のリーダーやサブリーダー役をきっちりおさめた人」、「海外経験がある、もしくは語学力がある人」、「会計や財務の勉強をきっちり行った人」が優位な立場に立つことがわかります。最後の、「求める人材の育成と活用」の「求める人材」の箇所に意識が行く人が多いと思いますが、それよりも前の3つのポイントで、どのような人材が必要なのかはわかります。仮に「求める人材」がどういったい人かを知りたい人は、会社説明会や就活生用パンフレットを手に入れましょう。大体、非常に抽象的な文章でとてつもないポテンシャルを秘めているような人材を欲していることがわかります。

就活生はこのあたりの情報を活用すれば、少しは情報源に困らずに戦えるのではないでしょうか。特に、東京や大阪での説明会に参加しづらい地方の学生などは、IR情報をうまく活用して、情報面での不利を解消するのが良いと思います。

大学1年生や2年生の段階であり、すでに入りたい企業や業界が決まっているのであれば、その企業の上記の箇所を見て、「企業の課題」と関連するような経験を積めば有利です。僕が就活を行っている時期に、前年度に就活がうまくいかなかったから、1年を通してリーダー経験や海外経験、勉強を行って(つまり就活浪人して)、最終的に総合商社に就職した人と出会いました。個人的には就活浪人はお勧めできませんが。要は、会社の求める人材に慣れれば有利(絶対ではないのがポイントです)なのです。

この方法を利用すると、意外に志望理由や企業の差別化が簡単にできて、膨大なエントリーとそれにともなう準備の時間を削減することができます。就活の場合、1社でも内定をもらえると、それ以上の志望度の企業以外を一気に切ることができるので、残った志望度が高い企業に大きく時間を割くことができます。時間が非常に重要なのです。

僕が就活を行った時は社会的に厳しい情勢の時だったのですが、4年生の春(4月)に留学から帰ってきていきなり就活を始めて、最終的に誰でも名前を知っているような企業から4社ほど内定をもらうことが出来たので、上記の方法はそこまで間違っているとは思いません。

結構前(ベンチャー時代)に、大企業をディスった記事を書いた気がしますが、感じることは人それぞれなので、上記の方法を余裕があればお試しください。

最後に、蛇足になってしまいますが、「御社の社会活動(CSRなど)に共感して」と志望理由で言うのは絶対にやめてください。その時点で落ちます。じゃあそういう活動しているNPOにでも行ってくれ、という話になります。

これを読んでくれた就活生の希望した通りの結果になることを応援しております。お祈りメールに負けずに頑張りましょう。僕も数十社以上から祈られました。祈られなければ、USCPAにもなっていなかったかもしれませんし、監査法人で楽しく働いていなかったかもしれません。不思議なものですね。

ではでは


posted by 鈴木明 at 18:46 | [徒然日記] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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