2015年03月13日

財務諸表解説〜貸借対照表編3〜

財務分析のための財務諸表解説、今までは貸借対照表と、その内訳についてみてきました。

貸借対照表
貸借対照表の内訳

簡単に要約すると、

貸借対照表は

「ある一定時点での企業の持ち物リストと、それをどのように手に入れたのかを示すリストを示す表」

であり、その内訳の資産、負債、純資産は

資産:持ち物リスト
負債:借金
純資産:返済不要の源泉

でした。

*これらは財務分析を行うために思いっきり簡素化しているので、仮に試験などで回答する際はちゃんとした定義で答えてください。

<貸借対照表の科目解説>

さて、BSの内訳まで見てきたわけですが、ここからはもう少し踏み込んで、BSの中にある勘定科目についてもどのようなものかざっくりとみていきたいと思います。会計に触れたことがない人は、ここの勘定科目と呼ばれる単語たちで嫌気がさしてしまうと思いますので、この勘定科目をできる限り簡単に説明してみたいと思います。ここから具体的に使用する貸借対照表として、江崎グリコの平成25年3月31日の有価証券報告書を使用してみたいと思います。では、さっそく中身を見ていきます。

ちなみに、有価証券報告書は、企業サイトのIRページにあるか、EDINETと呼ばれるところで見つけることができますが、「企業名 有価証券報告書」と検索すれば基本的には入手可能です。また、有価証券報告書の中には、【連結財務諸表等】と【財務諸表等】がありますが、今回は【連結財務諸表等】の【連結貸借対照表】を使用したいと思います。何が違うのかというと、簡単にいうと、子会社など、グループ全体の財務諸表か、江崎グリコだけの財務諸表かという違いになります。グループ全体として見た方が企業実態をより正確に反映していると思いますので、【連結貸借対照表】を使用します。では、中身を見ていきたいと思います。

<貸借対照表の中身:資産>

まずは、資産の部から見ていきたいと思います。江崎グリコの資産の部を見てみると、一番上に「資産の部」とあり、その下に「流動資産」とあります。これは前回説明したとおり、1年以内に現金化できるであろう企業の持ち物になります。

<流動資産とは>

1年以内に現金化できるであろう企業の持ち物

となります。では、その持ち物についてさっそく見ていきたいと思います。このとき、できる限り大きな金額のものを見るようにしてください。細かい小さなものを見ると、わからなくなってやる気が下がってしまいますので、ここは大きな金額のところを中心に見ていきましょう。大きいものを見ると、以下のような勘定科目を見つけることができます。

  • 現金及び預金
  • 受取手形及び売掛金
  • 有価証券
  • 商品及び製品
  • 仕掛品
  • 原材料及び貯蔵品
  • 代表的な流動資産は揃っていますね。教材として十分だと思います。ここで、「繰延税金資産」という意味不明な単語を見ることができますが、無視して大丈夫です。意外に金額は大きいですが、無視でOKです。どうしても知りたいという真面目な人は、「会計と税法のルールの違いにより生まれたもの」とだけ覚えてくれれば十分です。では、上記のメインとなる流動資産について、簡単に説明していこうと思います。

    <現金及び預金>

    これは説明が要らないと思いますが、現金です。お金ですね。ただ、会社の経理部にこれだけのお金が積まれているというわけではなく、通常は何個も銀行に口座があって、そこに預けている状態になります。そのため、「現金及び預金」と預金が入っているのです。もう一つ余談ですが、企業はこの現金を寝かせておくというよりは、短期間の定期預金などで微力ながら運用していることが多いです。寝かせておくのは勿体ないですからね。

    <受取手形および売掛金>

    簿記が苦手な人はこのあたりで脳が拒否反応を起こすかもしれません。僕も昔は売掛金などという単語が苦手でした。なので、苦手な人にでもわかるように簡単に説明したいと思います。「受取手形及び売掛金」ということで2つの勘定科目がまとめられていますね。「受取手形」と「売掛金」です。順番が逆になってしまいますが、「売掛金」から説明したいと思います。

    ・売掛金
    簡単に言うと、「あとでお金をもらえる権利」です。もし僕がエンピツを売る商売をやっていて、あなたにエンピツを売るとします。代金は翌月末の支払です、という請求書を僕が発行してあなたに渡します。すると、僕からすれば翌月末にお金を受け取ることができます。これが売掛金です。「掛けで売るから売掛金」と言うこともありますが、めんどくさいので「あとでお金をもらえる権利」と覚えると楽です。次は、売掛金に似ている「受取手形」を説明します。

    ・受取手形
    これは、売掛金の、しっかりしたバージョンになります。ただ、「あとでお金をもらえる権利」であることには違いがありません。上記の例でいうと、僕があなたから「手形」と呼ばれる紙をもらって、より強力な拘束力を持った約束になるということです。僕は手形を手に入れると、いろいろと手形に印鑑を押したり手間をかけて、僕が取引している銀行に持っていきます。すると、期日にお金が入金されるという流れになっています。正直、実際に手形をもらうと萎えます。処理がめんどくさいからです。とにかく、「あとでお金をもらえる権利」と覚えていただければ大丈夫です。

    <有価証券>

    次は有価証券です。「価値が有る証券」で有価証券と言いますが、はやい話が株式とか国債とかです。思い出してください、今は資産、つまり企業の持ち物リストの内訳の説明をしています。なので、「有価証券」は「株式や国債など」と軽く考えてくれれば大丈夫です。

    <商品及び製品>

    これもその名の通り商品ですね。江崎グリコの場合は倉庫に「ポッキー」とか「アイスの実」とか積まれているわけです。それのことになります。

    <仕掛品>

    「しかかりひん」と読みます。中には「しかけひん」と読む人もいるかもしれませんが、「しかかりひん」としておきましょう。無難です。これは製品になる途中の状態の物体を指します。江崎グリコの場合だと、チョコでコーティングされる前のクッキー上の棒であったり、アイスの実として丸められる前のぐちゃぐちゃのアイスだったりします。そのクッキーの棒にチョコをコーティングして、袋に包んで箱に入れて完成すれば、上記の「商品及び製品」になります。

    <原材料及び貯蔵品>

    これもその名の通り原材料や貯蔵品になります。原材料でいくと、江崎グリコの場合はポッキーやアイスの実をつくるためのもっとも最初に必要になるものになります。例えば、小麦やカカオなどがあげられます。それらを加工すると仕掛品となり、完成すると商品及び製品となります。貯蔵品は企業によって何を指しているかが違ったりするので、未使用のまま置いておかれているものと軽く覚えておいてください。重要なのは原材料だと思います。

    以上で、企業の持ち物リストである資産のうち、1年以内に現金化できる流動資産を見てきました。簡単に説明できる状態で流動資産を書き直してみると、以下のようになります。

    <資産の部:流動資産簡単編>

  • 現金及び預金:現金や預金
  • 受取手形及び売掛金:あとでお金をもらえる権利
  • 有価証券:株式や国債
  • 商品及び製品:ポッキーとかアイスの実
  • 仕掛品:作っている最中のポッキーなど
  • 原材料及び貯蔵品:小麦粉など
  • あと覚える必要ないもの色々
  • となります。何となく企業の持ち物が見やすくなったのではないでしょうか。次は、資産の部の流動資産の下にある、固定資産を見ていきたいと思うのですが、少し長くなってしまったのでまた次回にしたいと思います。ただ、固定資産は読めばそのままのものが多いので、サクッと終わらせたいと思います。

    次の記事:貸借対照表:固定資産

    ではでは


    posted by 鈴木明 at 20:03 | [財務分析・企業分析] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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