2015年03月14日

財務諸表解説〜貸借対照表編4〜

財務分析のための財務諸表解説、今までは貸借対照表と、その内訳、そして資産の部の流動資産の内容についてみてきました。

貸借対照表
貸借対照表の内訳
貸借対照表:資産の部・流動資産

今回は、貸借対照表の資産の部、その中の固定資産について書いていきたいと思います。

*再度書きますが、これらは財務分析を行うために思いっきり簡素化しているので、仮に試験などで回答する際はちゃんとした定義で答えてください。

さて、今回は資産、つまり企業の持ち物リストの中の固定資産ということで、以前に書いた記事から固定資産とは何かについてもう一度振り返ってみようと思います。

<固定資産とは>

固定資産とは、それ自体を長期間使用して、企業が売上を生み出す性質の持ち物になります。

では、前回に引き続き、江崎グリコの連結財務諸表の連結貸借対照表の中身を見ていきたいと思います。今回は固定資産の内訳をみていきます。ここでも、大きな金額を中心に確認していきます。以下のようなものがあげられます。

「有形固定資産」

  • 建物及び構築物
  • 機械装置及び運搬具
  • 工具、器具及び備品
  • 土地
  • 「無形固定資産」

  • ソフトウエア
  • 「投資その他の資産」

  • 投資有価証券
  • これくらいの中身を理解すれば、この企業が固定資産として何を持っているのかを何となくはつかめると思います。ここでも、意味不明な難解な単語はスルーしていますが、ハッキリ言って企業を理解するのに細かいところまでは見る必要はあまりありません。では、上記の固定資産について、簡単に説明していこうと思います。

    <有形固定資産>

    各勘定科目に入る前に、この「有形固定資産」というものが書いてあります。これは、「さわることができる固定資産」と覚えてくれれば大丈夫です。では、内訳の説明をしていきます。

    <建物及び構築物>

    見ただけでわかると思いますが、建物です。「本社ビルは賃貸じゃなくて自前で建てました」とか「本社は購入しました」とかいう場合がわかりやすいと思います。

    <機械装置及び運搬具>

    これも名前の通り、機械や運搬具になります。ポッキーを作るために小麦粉などから棒状のクッキーを作る機械であったり、それらを運ぶ巨大なトラックだったりがここに入ります。

    <工具、器具及び備品>

    こちらも名前の通り、工具や器具、そして備品になります。江崎グリコの場合、ここに何が入るのかは想像でしかないのですが、例えば本社や工場にある事務用の机や椅子、パソコンなど、そして工場にあるメーターやペンチなど様々なものがここに入るような気がします。

    ちなみに、これらの項目の下にある「減価償却累計額及び減損損失累計額とは何かについて説明します。上記のような固定資産は、年月が経つと価値が衰えてきます。例えば、ポッキーにチョコレートをデコレーションする機械は、新品の時には非常に価値がありますが、何年も使用しているとボロボロになってきますし、性能も他のモノに比べて劣ってきます。つまり、価値が下がるのです(当たり前ですね)。その分の減った価値を会計的に計算して(「会計的に」が重要です)、その累計額を記載したのがこちらの勘定科目になります。

    <土地>

    これはそのまま、土地ですね。古くからある企業は良く所有しています。最近のベンチャーは土地などほとんど持っていないのではないでしょうか。ここまでが「有形固定資産」の説明になります。ここからは、「無形固定資産」に入っていきます。

    <無形固定資産>

    無形固定資産とは、有形固定資産の反対で「さわることができない固定資産」と覚えていただければ大丈夫です。例えば特許やソフトウエアなどがわかりやすい例になると思います。さわることができませんよね。

    <ソフトウエア>

    これはそのまま、ソフトウエアになります。システムに投資したりすると、ここに該当することになります。

    <投資その他の資産>

    ここは説明が難しいのですが、企業が上記の「有形固定資産」と「無形固定資産」に当てはまらない長期的な投資をしたときに、ここに該当します。そのため、ここの分類は厳密にいうと売上を生み出す固定資産とは別の働きをするものになります。簡単に言うと、企業の連結グループに入らない会社の株式を購入したときや、企業の本業に直接関係がないような投資を行った時に、ここの分類に入ると考えれば大丈夫です。よくわからないと思いますが、財務分析を行う際に初期のころは無視しても大丈夫だと僕は思います。まぁとりあえず、説明していきたいと思います。

    <投資有価証券>

    有価証券に関しては流動資産の部にも記載があったのですが、こちらは「投資有価証券」になります。例えば、企業が配当金を目的に他の企業の株式を購入したり、長期の国債を購入したりするとここに分類されます。日本特有のことを考慮すると、株式の持ち合いもこちらに分類されると考えられます。株式の持ち合いとは、ある企業が他の企業とお互いに株式を持ち合うことによって、しかもお互いの経営に口出しするのを控えることによって、安定した経営を可能にするという方法です。

    ややこしいのですが、江崎グリコは同じ有価証券報告書の中の「L株式の保有状況」という箇所で、以下のように説明しています。

    投資株式のうち保有目的が純投資目的以外であるものの銘柄数及び貸借対照表計上額の合計額
    88銘柄 33,210百万円

    上記を簡単に言うと「お菓子を作って売るという本業に関係ない投資として、88社の企業に332億円投資しています」ということです。その下に88社の企業と、どうしてそこの株を保有しているかの理由を書いているのですが、その理由の大半が「安定的取引関係の維持強化」「営業上の協力関係の強化」などです。慣れあっていますね。そんなことに332億円も投資しているなら、さっさとそのお金でもっと売れるお菓子の研究してくれよ、という株主はいないのでしょうか。

    余談になりますが、僕が最初に入社した日経企業は、グローバルに事業を展開していましたが、そこでも株式の持ち合いは凄い金額で行っていました。本当にいろんな企業の株を大量に保有していて、その取引先との円滑なビジネスを営むためという理由がまかり通っていました。個人的には、資本主義をバカにしている制度だと僕は思います。リーマンショックのあとから、その様々な株式の株価が下落し始めて、その分を減損損失として計上するかをひたすら悩んでいたのを思い出します。結果はどうなったか忘れてしまいましたが。

    最後にものすごく話がそれてしまいましたが、以上で、企業の持ち物リストである資産のうち、それ自体を使用して売上を生み出す固定資産についてみてきました。固定資産の内訳について、書き直してみると以下のようになります。

    <資産の部:固定資産簡単編>

  • 有形固定資産:触れることができる固定資産
  • 建物及び構築物:本社ビルなどの建物など
  • 機械装置及び運搬具:ポッキーを作る機械など
  • 工具、器具及び備品:パソコンや机、工場のペンチなど
  • 土地:土地
  • 無形固定資産:触れることができない固定資産
  • ソフトウエア:社内システムなど
  • 投資その他の資産:投資その他の資産
  • 投資有価証券:持ち合いの株式や長期の国債など
  • という感じになります。上記で、企業がどんな持ち物を使用して売上を上げているかがわかると思います。これにて、貸借対照表の資産の部の説明を終わりたいと思います。次回からは、負債の部について説明していきたいと思います。

    次の記事:貸借対照表:負債の部・流動負債

    ではでは


    posted by 鈴木明 at 10:28 | [財務分析・企業分析] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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