2015年03月15日

財務諸表解説〜貸借対照表編5〜

財務分析のための財務諸表解説、今までは貸借対照表と、その内訳である資産のうち、流動資産と固定資産についてみてきました。

貸借対照表
貸借対照表の内訳
貸借対照表:資産の部・流動資産
貸借対照表:資産の部・固定資産

今までは資産の部についてでしたが、今回からは、貸借対照表の負債の部についてみていきたいと思います。

*再度書きますが、これらは財務分析を行うために思いっきり簡素化しているので、仮に試験などで回答する際はちゃんとした定義で答えてください。

さて、今回は負債ということで、以前に記載した記事の中からもう一度、貸借対照表における負債とはどのようなものなのかについて確認していきます。

<負債とは>

貸借対照表における負債とは、簡単に言うと以下のようなものになります。

  • 「どのように資産を手に入れたのかリスト」の
  • 「他人からの借り入れの部分」
  • を負債と言います。つまり、平たく言えば借金のことです。もう少し具体的に言うと、「企業がいずれ返済する必要があるもの」が負債ということになります。

    現段階では、どのように資産を手に入れたのかリスト、ということがわかりにくいと思いますが、そんな場合はとりあえず借金と覚えておけば大丈夫です。では、さっそく負債の部の内容についてみていきたいと思います。今回も実際に見ていくのは江崎グリコの平成25年3月31日の有価証券報告書の貸借対照表になります。

    <貸借対照表:負債の部>

    貸借対照表の負債の部を見ていくと、一番上に「流動負債」とあります。これは以前にも説明しましたが、「1年以内に返済しなければならない借金」ということです。つまり、この中に記載があるものは、ほぼ全て1年以内に支払が必要なものリストということになります。ではひとつずつ見ていくことにしますが、ここでも金額が大きい重要なものを中心に取り上げようと思います。

  • 支払手形及び買掛金
  • 短期借入金
  • 1年以内返済予定の長期借入金
  • 未払費用
  • 未払法人税等
  • 販売促進引当金
  • 流動負債で重要となるのは上記のようなものになります。では、それぞれ説明していこうと思います。

    <支払手形及び買掛金>

    こちらは資産の部にあった「受取手形及び売掛金」の逆バージョンなのですが、同じく2つの勘定科目がまとめられていますので、「支払手形」と「買掛金」に分けて説明していきます。順序が逆になってしまいますが、わかりやすい「買掛金」から説明していきます。

    ・買掛金
    簡単に言うと、「あとでお金を払う義務」です。仮に僕がエンピツを売る商売を営んでいて、あなたからエンピツを100万円分、仕入れるとします。そのとき、あなたから請求書をもらいます。その請求書には「代金100万円は翌月末までにお支払いください」と記載されています。つまり、僕は「翌月末までにあなたに100万円を支払う義務」があります。これが買掛金100万円の状態です。「あとでお金を支払う義務」と覚えると楽です。

    ・支払手形
    これは買掛金のしっかりしたバージョンになります。「あとでお金を支払う義務」であることには変わりはないので、買掛金とはそこまで違いがありません(そのため、まとめて貸借対照表に記載されています)。手形が存在することが特徴で、先ほどの例でいうと、エンピツを僕が仕入れた際に、あなたが「手形頂戴」と言って僕が「翌月末までに100万円払います」という手形を発行し、あなたに渡します。するとその義務は支払手形となるのです。まぁこちらも、「あとでお金を支払う義務」と覚えれば大丈夫です。

    <短期借入金>

    名前の通りですが、「短い期間で返済が必要な借金」です。例えば、銀行から100万円を6か月の期間で借りればここに該当します。

    <1年以内返済予定の長期借入金>

    こちらはも名前の通りになるのですが、長い期間借りていた借金の期日が1年以内となった場合に、こちらに該当します。例えば、銀行から1000万円を10年後に返済する契約で借りていたとして、あと1年以内に返済期間が来た場合は、こちらに記載する必要があります。名前は違いますが、「1年以内に返済が必要な借金」という点では短期借入金と同じです。

    <未払費用>

    未払費用とは、この貸借対照表を作成した日の時点で、あとで支払うことが決まっている部分をこの時点で費用として計上しておくための勘定科目になります。契約などによって後で支払うことが決まっている義務ということになります。こういう書き方をするとわかりにくいので、例で説明します。

    僕はエンピツビジネスのために、Aさんを雇用しています。Aさんは非常に優れたビジネスマンのため、月給が200万円もあります。ただ、給料日は毎月15日だとします。すると、貸借対照表を作成する日は月末なので、15日に支払ってから月末(作成日)まで、つまり16日から30日まで月の半分は働いてもらっているのに給料を支払っていません。この時点で、給料の半分(100万円分)はすでに働いてもらっているのにも関わらず、支払はまだ先の話(15日)となっています。そこで、月末時点で15日分の給与100万円分未払費用として計上することになります。

    もちろん、上記の給与の例以外にも様々なものが未払費用に当てはまります。それにしても、江崎グリコの場合、未払費用が200億円以上もあるんですが、一体何なんでしょう。不思議です。

    <未払法人税等>

    こちらも読めばそのままなのですが、未払いの法人税等(法人税、住民税、事業税のこと)になります。こういった税金は確定申告のときに支払うので、貸借対照表を作成する時点ではまた支払う必要がありません。なので、あとで税金を支払う義務ということで「未払法人税等」という形で貸借対照表に乗せておきます。つまり、「あとで払う税金」です。

    <販売促進引当金>

    この科目そのものではなく、「引当金」という箇所に絞って説明したいと思います。引当金とは、「将来的に発生しそうな費用を今のうちに見積もっておくもの」になります。これも想像しやすいように、例を使って説明します。

    株式会社エンピツはエンピツビジネスの販売促進として、「エンピツポイント」というポイントを会員に付与しています。1本のエンピツにつき1エンピツポイントがつき、そのポイントでまたエンピツを買う際に支払いが可能というものです。こうすることで、株式会社エンピツは自社のエンピツに顧客ロイヤルティを獲得することに成功しています。今年の決算のタイミング、つまり貸借対照表を作成するタイミングで、残ったポイントは100万ポイントだと判明しました。この時点で、株式会社エンピツは「販売促進引当金」として100万円を計上することにしました。

    こういった際に使われるのが、引当金という勘定科目になります。こちらも、形式は直接支払う形ではないにしろ、「あとで支払う(値引きする)義務」というものになっています。

    以上が、「企業のどのように資産を手に入れたのかリスト」であり、「借金」である負債の流動負債の説明になります。簡単なものに置き換えると、以下のようになります。

    <負債の部:流動負債簡単編>

  • 支払手形及び買掛金:あとで支払う義務
  • 短期借入金:1年以内に返す借金
  • 1年以内返済予定の長期借入金:1年以内に返す借金
  • 未払費用:あとで支払う費用
  • 未払い法人税等:あとで支払う税金
  • 販売促進引当金:あとで値引きする義務
  • こう見ると、負債は企業の借金ということが良く分かります。これにて、負債の部のうち、流動負債の説明を終わりたいと思います。次は、負債の部のうち固定負債についてみていきたいと思います。

    次の記事:貸借対照表:負債の部・固定負債

    ではでは


    posted by 鈴木明 at 21:58 | [財務分析・企業分析] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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