2015年03月17日

財務諸表解説〜貸借対照表編6〜

財務分析のための財務諸表解説、今までは貸借対照表と、その内訳である資産とその中の流動資産と固定資産、そしてもうひとつの内訳である負債とその中の流動負債についてみてきました。

貸借対照表
貸借対照表の内訳
貸借対照表:資産の部・流動資産
貸借対照表:資産の部・固定資産
貸借対照表:負債の部・流動負債

今回も、貸借対照表の負債の部についてみていきたいと思います。

*再度書きますが、これらは財務分析を行うために思いっきり簡素化しているので、仮に試験などで回答する際はちゃんとした定義で答えてください。

さて、今回は負債ということで、以前に記載した記事の中からもう一度、貸借対照表における負債とはどのようなものなのかについて確認していきます。

<負債とは>

再度の確認になりますが、貸借対照表における負債とは、簡単に言うと以下のようなものになります。

  • 「どのように資産を手に入れたのかリスト」の
  • 「他人からの借り入れの部分」
  • を負債と言います。まぁ平たく言えば借金のことです。もう少し具体的に言うと、「企業がいずれ返済する必要があるもの」が負債ということになります。

    現段階では、「どのように資産を手に入れたのかリスト」、という箇所の意味がわかりにくいと思いますが、そんな場合はとりあえず「借金」と覚えていただければ大丈夫です。では、今回は負債の部の中でも、固定負債についてみていきたいと思います。今回も実際に見ていくのは江崎グリコの平成25年3月31日の有価証券報告書の貸借対照表になります。

    <貸借対照表:負債の部>

    前回確認した流動負債の下を見ていくと、固定負債という内訳があると思います。前回説明した流動負債は「1年以内に返済が必要な借金」でしたが、今回説明する固定負債とは「1年以上返済を待ってもらえる借金」ということになります。重要なのは、返済期間が長くても借金は借金だということです。つまり、いずれは絶対に返済する必要があります。

    では、さっそく江崎グリコの固定負債についてみていきたいのですが、なんとあまり勘定科目がないです。その他を入れて4つしか固定負債がありません。そのため、一般的な固定負債にあげられるものをピックアップして説明していこうと思います。

  • 長期借入金
  • 社債
  • 退職給付引当金
  • 固定負債は数が少ないので、これくらいを知っておけば問題ないと思います。では、それぞれ説明していこうと思います。

    <長期借入金>

    名前の通りですが、「長い期間、返済を待ってもらえる借金」です。例えば、銀行から5億円を10年後の期間で借りればここに該当します。個人の生活でイメージしやすいものとすれば、住宅ローンがあげられます。5000万円の家を35年ローンで買いました。という人は、会計的に見れば以下の行為を取っていることになります。

    「5000万円を35年の長期借入金で資金調達し、資産である不動産を購入した」

    この資産と思われる自宅が一切の利益を生まない点が問題なのですが、ここでは財務諸表と関係ないので深堀はしません。とにかく、長期借入金とは返済期日が1年を超える借金と思っていただければ大丈夫です。ちなみに、この長期借入金の返済期日が残り1年未満になったときに、前回説明した流動負債である、「1年以内返済予定の長期借入金」に移動します。固定負債から流動負債に移動するということです。返済日が近いので、十分な現金を用意していないと大変なことになりますね。

    <社債>

    江崎グリコの固定負債にはありませんが、「社債」というものも代表的な固定負債になります。社債とは、会社が直接市場から資金を調達する際に発行するものになります。意味不明ですね。先ほどの長期借入金と比較するとわかりやすいので、もう少し具体的に説明します。

    先ほどの長期借入金は、一般的には銀行からの借金になります。そして、利子をつけて銀行にお金を返します。つまり、銀行を通してお金を調達しているものになります。それに対して社債とは、会社が銀行を通さずに直接お金を借りることになります。イメージしやすいように、以下に例を書いてみます。

    A株式会社は、工場を建設しようとしたところ、100万円が必要と判明しました。そこで、以下のようなものを発行して、資金調達することになりました。

    「100万貸してくれたら10年後に110万円で返す券」

    上記のような債券を、証券会社を通して直接投資家に販売します。これを投資家サイドから見れば10年後に(A株式会社がつぶれていなければ)110万円を手に入れる券を今100万円で購入することになります。A株式会社サイドから見れば、10年後に110万円を返済する義務を負って、今100万円を手に入れることができます。A株式会社はその100万円を使って、10年で110万円以上にできればその分は儲けとなります。

    少し長くなりましたが、この「100万円貸してくれたら10年後に110万円で返す券」を社債と思ってもらえれば大丈夫です。つまり、銀行ではなく投資家からお金を借りるということです。上記の説明が意味不明であれば、簡単に「投資家からの借金」と思っていただければ大丈夫です。

    <退職給付引当金>

    流動負債のところでも出てきましたが、これも「引当金」の一種になります。繰り返しになりますが、引当金とは、「将来的に発生しそうな費用を今のうちに見積もっておくもの」になります。退職給付引当金に関しては以下のようになります。

    A株式会社には、愛車精神にあふれた従業員が働いています。A株式会社の経営陣は、そんな従業員のために退職金制度を自社で用意しています。ここではわかりやすくするために、30年働いた従業員が退職する際には3000万円を退職金として支払う退職金制度を用意しているとします。全ての従業員はA株式会社で30年しか働くことができないと仮定します。すると、勤続30年を迎えた社員は3000万円をもらって退職することになります。つまり、ひとりの新入社員が入社すると、毎年100万円分の引当金を用意する必要があるということです。30年間100万円を引き当てていくと、30年後には3000万円分の引当金が積み上がり、実際に退職金を支払う時には引当金がなくなるということです。

    ここで重要なのは、実際に現金を積み上げていっているわけではないということですが、それを説明すると会計の話になって意味不明になってくるので、とりあえず退職給付引当金は

    「将来、従業員が退職するときに支払う退職金の金額」

    と覚えてもらえば大丈夫です。言い方を悪くすると、従業員に対する借金です。僕もサラリーマンなので、退職金分は会社が積み立てるのではなくて。給料として今すぐに支払ってほしいのです。来年はどうなっているかわからないし、今すぐその分のお金をもらって自分で運用した方が良い結果が得られると思いますから。しかし、こういう制度があるので仕方ないですね。

    以上が、「企業のどのように資産を手に入れたのかリスト」であり、「借金」である負債の固定負債の説明になります。簡単なものに置き換えると、以下のようになります。

    <負債の部:固定負債簡単編>

  • 長期借入金:銀行からの1年以上返さなくて良い借金
  • 社債:投資家からの1年以上返さなくて良い借金
  • 退職給付引当金:従業員へ将来払う退職金の総額
  • 固定負債というとわけがわかりませんが、長い期間返す必要がない借金のことになります。ただ、いずれ絶対に支払う必要がある義務のことなので、ここが巨額だと企業としては安定性に欠けると言わざるを得ません。これにて、負債の部の固定負債の説明を終わりたいと思います。次は、純資産の部についてみていきたいと思います。

    次の記事:貸借対照表:純資産の部

    ではでは


    posted by 鈴木明 at 21:38 | [財務分析・企業分析] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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