2015年03月25日

財務諸表解説〜貸借対照表編7〜

財務分析のための財務諸表解説、今までは貸借対照表と、その内訳である資産とその中の流動資産と固定資産、そしてもうひとつの内訳である負債とその中の流動負債と固定負債についてみてきました。

貸借対照表
貸借対照表の内訳
貸借対照表:資産の部・流動資産
貸借対照表:資産の部・固定資産
貸借対照表:負債の部・流動負債
貸借対照表:負債の部・固定負債

今回は、貸借対照表の最後の内訳である純資産の部についてみていきたいと思います。

*再度書きますが、これらは財務分析を行うために思いっきり簡素化しているので、仮に試験などで回答する際はちゃんとした定義で答えてください。特に今回の純資産に関しては、少し無理やり簡単に説明しているので、ざっくりと理解できれば十分ととらえてください。

さて、今回からは純資産ということで、以前に記載した記事の中からもう一度、貸借対照表における負債とはどのようなものなのかについて確認していきます。

<純資産とは>

再度の確認になりますが、貸借対照表における負債とは、簡単に言うと以下のようなものになります。

  • 「どのように資産を手に入れたのかリスト」
  • 「返済の必要がない部分」
  • 「投資家の持ち分」
  • を純資産と言います。誤解を恐れずに簡単にいうと、投資家の持ち分のことになります。とは言っても理解しにくいと思うので、以下で説明していきたいと思います。今回も実際に見ていくのは江崎グリコの平成25年3月31日の有価証券報告書の貸借対照表になります。

    <貸借対照表:純資産の部>

    前回確認した負債の下を見ていくと、純資産の部という内訳があると思います。その中でも、普通に生活していると見たことも聞いたこともないような単語がズラズラと並んでいます。いやになりますね。その純資産の部でも大きく分けて3つの項目に分けることができます。それが以下になります。

  • 株主資本
  • その他の包括利益累計額
  • 少数株主持分
  • 今回は中でも、「株主資本」についてみていきたいと思います。江崎グリコの貸借対照表の「株主資本」の中でも、特に重要なものは以下のような勘定科目になります。

  • 資本金
  • 利益剰余金
  • では、それぞれについて説明していこうと思います。

    <資本金>

    資本金とは、会社を立ち上げたときなどに、資本金としてお金などを調達した分の金額のことを言います。昔は会社を立ち上げるのに1000万円の資本金が必要だったのですが、今では1円でも会社を立ち上げられるようになりました。ここは、例を書いたほうがイメージしやすいと思うので、また仮のお話を書いてみたいと思います。

    Aさんは海外旅行が趣味です。旅行中、すばらしい商品を見つけました。「水上を歩ける靴、その名もウォーターウォーク(仮)」です。Aさんは「これは確実に日本で売れる」と感じ、その場でウォーターウォークを売っていた人と日本での独占販売契約を結びました。Aさんは興奮冷めやらぬまま日本に帰国し、株式会社ウォーターウォークを立ち上げることにしました。そのときAさんの貯金は1000万円ありました。そこで、Aさんはその会社の資本金として500万円をその会社に投資することにしました。そして、同時期に銀行に行き、ウォーターウォークの将来性を必死に熱弁して、銀行から10年後に返済するという条件で500万円の融資を受けることに成功しました。

    この時点で、この株式会社ウォーターウォークの財務諸表には

    資産の部
    流動資産
    現金:1000万円

    負債の部
    固定負債
    長期借入金:500万円
    純資産の部
    資本金:500万円

    となっています。このように、会社を立ち上げたときに会社に投資家(この場合はAさん)が投資した金額500万円が資本金になります。復習になりますが、銀行から長期で借り入れた場合は長期の借金なので、負債の部の固定負債の長期借入金500万円になります。

    この時点での貸借対照表をよく見ると、今まで説明してきた

  • 資産:持ち物リスト
  • 負債:借金
  • 純資産:返済不要の源泉
  • ということがわかると思います。現金1000万円は株式会社ウォーターウォークの資産、つまり持ち物で、どのようにそれを手に入れたのかというと、銀行からの借金500万円と、投資家(この場合はAさん)からの出資500万円になります。

    注意点というか、会計を知らない人はここでごちゃ混ぜになってしまうのですが、この時点で、資産である現金と、負債と純資産であると長期借入金と資本金はすっぱりと切り離されます。例えばAさんが現金でウォーターウォークを購入しても(現金が減る)、長期借入金と資本金には一切影響がありません。

    長くなってしまいましたが、資本金とは「ビジネスを立ち上げるときに最初に投資家がぶち込むお金の金額」ということになります。「金」と書いてあるので実態があるように見えますが、「最初に投資家がぶち込んだ金額はこれだけでした」という意味でしかありません。なので、この「資本金」の数字はめったに動きません。

    <利益剰余金>

    これは、今まで会社が積み上げてきた利益の累積額になります。最初にAさんが投資した分とは関係がなく、むしろそのあとにビジネスとして営業活動を行い、その結果利益が出た分がこちらに積みあがっていきます。ここが巨額な会社は、今までたくさんの利益を稼いできた会社ということになります。今まで純資産のことを、返済する必要のない厳選という言い方をしてきましたが、厳密にいうとこの利益剰余金が積みあがってくると、そのうち投資家に配当という形で還元する必要がでてきます。しかし、それも絶対に行わなくてはならないというわけではないので、このブログでは「返済不要の源泉」という言い方をしています。

    以上が純資産の部の株主資本の箇所の説明になります。これを簡単なようにしてみると、以下のようになります。

    <純資産の部:株主資本簡単編>

  • 資本金:会社立ち上げ時に投資家がぶち込んだ数字
  • 利益剰余金:利益が積みあがった数字
  • 株式会社は投資家のものなので、この純資産の部分を自己資本と呼ぶことがあります。極端に言うと、必ず返済する必要がないので、この部分だけで資金調達していると、倒産の危険性は非常に低くなります。なので、この純資産の割合が大きい会社は安定性が高いと言われます。これで、純資産の部の株主資本の箇所の説明を終わりたいと思います。次は、純資産の部のその他の包括利益累計額の箇所についてみていきたいと思います。次回で財務諸表の解説の、貸借対照表編が終了する予定です。貸借対照表が終われば、次は損益計算書の説明を書いていきたいと思います。

    次の記事:貸借対照表:その他の包括利益

    ではでは


    posted by 鈴木明 at 22:56 | [財務分析・企業分析] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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