2015年04月14日

財務諸表解説〜キャッシュフロー計算書編〜

財務分析のための財務諸表解説、今までは貸借対照表と損益計算書について何回かに分けてみてきました。

貸借対照表
貸借対照表の内訳
貸借対照表:資産の部・流動資産
貸借対照表:資産の部・固定資産
貸借対照表:負債の部・流動負債
貸借対照表:負債の部・固定負債
貸借対照表:純資産の部・株主資本
貸借対照表:純資産の部・その他の包括利益
貸借対照表:簡単に表示
損益計算書:損益計算書について

ちょっとした復習になりますが、貸借対照表とは、BSとも呼ばれ、企業の財政状態を示すものとして利用されます。中には何が記載してあるかというと、企業がその時点で何を持っているのか、そしてその持ち物はどのように手に入れたのかということでした。詳しくは、それぞれのリンクを見ていただければと思います。そして損益計算書とは、企業の一定の期間(1年間)の成績表ということをみてきました。今回は、最後の重要な財務諸表である、キャッシュフロー計算書についてみていきたいと思います。

<キャッシュフロー計算書とは>

まずは、キャッシュフロー計算書とはどのようなものかについて説明していきます。キャッシュフローとは、そのまま翻訳するとお金の流れになります。それの計算書ということで、企業の1年間のお金の流れについて記載した財務諸表ということになります。つまり、会社の現金の増減を1年間で示したものになります。

ここでの1年間は、前回の損益計算書と同じ期間になります。大半が4月1日から3月31日までの1年間で計算しているということでした。では、キャッシュフロー計算書の内訳についてみていきたいと思います。

<キャッシュフロー計算書の内訳>

キャッシュフロー計算書には、以下の区分が用意されています。それが「営業活動によるキャッシュフロー」、「投資活動によるキャッシュフロー」、そして「財務活動によるキャッシュフロー」の3つです。それぞれ、どのような活動を行ったことにより現金が増減したのかを説明するものになっています。ここで重要なことは、財務分析をする際には「キャッシュフロー計算書がどのように作られているか」はそこまで重要ではなく、むしろ「キャッシュフロー計算書の中身は何を意味しているのか」を知ることが大事だということです。では、それぞれについて説明していきます。

<営業活動によるキャッシュフロー>

こちらはその名の通り、企業が営業活動(つまり企業が行っている日常的なビジネス活動)を通してどのようにお金が増減したのかを表しています。作成方法としては間接法や直説法などがあるのですが、ここで重要なのは「営業活動を通して現金がプラスになったかどうか」ということです。もし営業活動によるキャッシュフローがマイナスだとすれば、会社を続ければ現金がどんどん流出していくことを意味しているからです。例外はありますが、基本的に営業活動によるキャッシュフローがマイナスの会社は危険です。

<投資活動によるキャッシュフロー>

こちらも名前の通り、企業が投資活動を通してどのように現金が動いたのかを示す項目となっています。こちらの項目がマイナスだと、良くないと直感的には良くないような気もしますが、実態はそうではありません。例えば、設備投資を行ったときや、他の企業へ出資したりして投資した際に現金が出ていった際にマイナスとなるのです。企業が将来にわたって繁栄するためには投資が不可欠ですから、こちらのマイナスが続くときは、将来へ向けて投資をし続けていると考えることができます。逆に、プラスの場合は、保有していた工場や設備を売却して現金を生み出していることになります。

<財務活動によるキャッシュフロー>

こちらは、企業がお金を調達するなどの財務に関連する活動を行った時に増減するお金を示す項目となっています。例えば銀行などからお金を借りた場合、または株式を発行してお金を調達した場合にはお金を手に入れているのでプラスに働き、配当金を支払って現金が減少する場合などはマイナスに働きます。こちらのプラスが続く場合は、銀行や投資家からお金を集めまくっている状態ということができます(金額によりますが)。

<各活動の組み合わせを分析>

ここまで3つの活動によるキャッシュフローについて説明してきましたが、では各活動においてプラスだったりマイナスだったりするキャッシュフローがどのような意味を持つのか、典型的なものについて具体的に書いてみたいと思います。もちろん正解というものはなく、あくまで一例ということになります。

・ケース1
営業活動CF:+
投資活動CF:+
財務活動CF:+

このケース1の企業は、営業活動には問題がなく、工場を建てたりする投資活動は一旦休止し、むしろ設備の売却などを通してスリム化を図っています。さらに銀行などからお金を借りて、将来のために使える現金をひたすらかき集めている状態と考えることができます。この後に大きな設備投資などを行う可能性が考えられます。

・ケース2
営業活動CF:+
投資活動CF:−
財務活動CF:+

このケース2の企業は、営業活動に問題がなく、銀行などから借り入れを行い、そのお金を使って設備投資していることが考えられます。業績が好調な企業が銀行借り入れや増資を行いお金を集め、一気に設備投資をして勝負に出ると、そのCF計算書はこのような形になることが多いです。

・ケース3
営業活動CF:+
投資活動CF:+
財務活動CF:−

このケース3の企業は、営業活動に問題はないのですが、保有していた設備などを売却してお金を作り、銀行から借りていたお金を返却しています。財務体質の強化を図っているのかもしれません。

・ケース4
営業活動CF:+
投資活動CF:−
財務活動CF:−

このケース4の企業は、営業活動が順調で、さらに将来に向けて投資行い、それに加えて配当を行っているもしくは借金の返済を行っています。このスパイラルに入ると企業は強いと感じます。個人的に一番好きな組み合わせのCF計算書になります。

・ケース5
営業活動CF:−
投資活動CF:+
財務活動CF:+

このケース5の企業は危険です。営業活動を行っても現金が流出しており、その流出を埋めるために設備を売却し、さらに銀行からお金を借りているという状態が考えられます。売れる商品に焦点を絞ったり人員削減などを行ったりして営業活動でお金を稼げるような体質になる必要があります。これが続くと借り入れの返済に行き詰まり倒産となります。

・ケース6
営業活動CF:−
投資活動CF:+
財務活動CF:−

このケース6の企業は、営業活動で現金が流出していますが、設備などを売却して現金を生み出しています。しかし、借り入れの返却を行っています。一気に財務体質の改善を行っているのかも知れません。

・ケース7
営業活動CF:−
投資活動CF:−
財務活動CF:+

このケース7の企業は、営業活動によって現金が流出する事態になっていますが、借り入れを行って将来に向けた投資を行っています。この設備投資がうまくいかなかった場合、営業によるマイナスと金融機関からの返済の催促で一気にピンチになることが考えられます。

・ケース8
営業活動CF:−
投資活動CF:−
財務活動CF:−

このケース8の企業は、営業活動で現金が流出していますが、将来にむけた投資活動を行い、さらに返済や配当などを行っています。急速に現金が会社から出ていっていますので、営業活動を立て直しが必要であり、投資の効果に期待する状態だと考えられます。

キャッシュフロー計算書の説明は以上になります。もちろん毎年CFの組み合わせは毎年変化するので、毎年の傾向を時系列でチェックするのが一番効果的です。ただ、営業活動によるキャッシュフローがマイナスの企業は危険です。ビジネスを行うと現金が出て行っている状態は、人間に例えると毎月預金残高が減っている状態にある人と同じになります。何か手を打たないといずれ破産してしまうのです。

以上で、キャッシュフロー計算書の説明を終わりたいと思います。これにて、財務分析に関する財務諸表の解説は終わりになるのですが、まさかほとんどが貸借対照表の話になるとは思ってもみませんでした。これからは、これらの情報を使って実際に企業の分析を行っていきたいと思います。

ではでは


posted by 鈴木明 at 20:24 | [財務分析・企業分析] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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