2015年03月01日

財務諸表解説〜貸借対照表編1〜

<はじめに>

このブログでは今ではほとんど更新されていませんが財務分析の欄を設けて企業分析を行なっているのですが、それ以前の問題として「そもそも財務諸表って何ですか」という疑問を僕は持っていたことがあるので(むしろ今も完全に理解しているとは言えませんが)、できる限り簡単に「財務諸表」の説明をしてみたいと思います。

<財務諸表に関する義務>

証券取引所に株式を公開している企業は財務諸表を提出しなければなりません。株式を公開していなくても税務署に提出する、もしくは金融機関に提出する必要がある決算書などがあるので、法人は少なくとも財務諸表というものを作っているのが普通だと思います。まぁ正直言ってこの辺りのルールは覚えていません。重要なのは財務諸表の読み解き方になります。

とにかく、企業が公開する財務諸表で特に重要なものは以下の3つになります。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • キャッシュフロー計算書
  • 今回の記事で覚えてほしいのは、まずはこの3つの存在です。逆に言えば、この3つに何が書かれているのかを理解できれば、財務分析も行えるようになります。では初めに、貸借対照表の説明から始めてみたいと思います。まずは貸借対照表の由来について書き、その後に貸借対照表とは何かについて書いた後、貸借対照表に書かれている項目の意味について説明していきたいと思います。では、貸借対照表とは何かについて入っていきます。

    <思い出話>

    貸借対照表の説明に入る前に、少し個人的なことを。実は今だから言えますが、過去に初めて会計の勉強を開始したとき、「貸借対照表」という名前が大嫌いでした。理由は名前を見ただけでは全然意味が分からないからです。まず読めない。読み方はどうやら「たいしゃくたいしょうひょう」というらしい。なにそれ。意味不明。貸す?借りる?対照する?何それ?みたいな感じでした。さらに「英語ではバランスシートと言い、BS(びーえす)と読む人もいます」らしい。当然ながら即効挫折しました。あの時の会計の本は完全に睡眠薬でした。読めばすぐ寝られる優れた書物だったのです。

    その後、留学中にもう一度財務会計、つまりFinancial Accountingの講義を受講したときに、貸借対照表がBalance Sheetだということを知りました。あ、BSってBalance Sheetの頭文字をとったものなのね、と思ったのを覚えています。今思うと日本語でもしっかりと読み込んでいれば理解できたかもしれませんが、「貸借対照表」という感じの連続でネガティブな印象を持った僕にしっかりと読み込むことはできませんでした。

    留学当初に話を戻しますが、そこから英語で会計用語を覚えたのでそこまで苦じゃなく会計になじむことが出来ました。なぜなら英語で会計を勉強することによって、英語と会計の両方を身に着けられる、つまり一石二鳥の効果が得られると考えていたからです。打算的な考えですね。そのため、未だに貸借対照表と言う名前は好きではありません。今はBS(びーえす)と呼ぶ人になっています。大きく脱線してしまいました。では、結局貸借対照表とは何なのかについて書いていきます。

    <貸借対照表という名前の由来>

    ではまずは名前の由来から入っていきたいと思います。上記の思い出話で僕がいきなり躓いたように、どうしてBalance Sheetの日本語訳がこの名前なのかがよくわかりません。直訳すると、「対照表」や「残高表」になるはずです。僕が今まで勉強してきた中で、「貸借対照表」の名前の由来には2つの説明があることを発見しました。

    1つめの説明は、「貸方と借方の合計金額が一致、つまり対照になる表」だから、貸借対照表になるというものです。僕が最初に勉強したときはこちらの説明で覚えました。それなら左が借方で右が貸方なのだから「借貸」対照表にして覚えやすいようにしてくれよ、と思ったのは僕だけでしょうか。この説明では、英語でBalance Sheetというので、貸方と借方がバランス、つまり対照になるのでそれを翻訳して貸借対照表と呼ぶようになったと記載されていました。一理ありますね。

    2つめの説明は、Balance Sheetとは企業の財政状態の残高、つまりBalance(残高という意味があります)の一覧を示す表なのでBalance Sheetと呼ぶというものです。実は金銭に関することにおいて英語でBalance(バランス)という単語を使用する際には、ほとんどが残高を表すように使われています。そのため、実は貸借対照表という翻訳は正しくなく、「残高一覧表」という翻訳の方が正しいという説明になります。翻訳したのはあの福沢諭吉さんらしいですが、彼が翻訳した結果、100年を超えて僕を苦しめることになったのですね。僕個人は、本当は残高一覧表が正解の説を信じています。

    さて、盛大に遠回りしましたが、ここから貸借対照表と何かについて記載していきます。ここからが本番です。

    <貸借対照表>

    貸借対照表とは何なのか。会計についての本などを読むと、

    「ある一定時点での企業の財政状態を示したもの」

    と書いていることが多いと思います。これは実際その通りなのですが、会計が苦手な人が見ればすでに意味不明な説明になってしまっていることが問題です。なので、もう少しこの文章を簡単にしてみると、

    「ある一定時点での企業の持ち物リストと、それをどのように手に入れたのかを示すリストを示す表」

    となります。企業が何を持っているのか(持ち物)、そしてそれはどうやって手に入れたのかが貸借対照表には書いてあります。難しく考える必要はなく、何を持っているのか、どうやって手に入れたのかを表す表、で十分だと思います。このことを理解するために、貸借対照表の中身を見ていきましょう。

    <貸借対照表の中身>

    貸借対照表を実際に見てみると、中には大きく分けて以下の内訳があることがわかります。

  • 資産
  • 負債
  • 純資産

  • この時点で「勘弁して」という人もいると思います。だけど、日本語はアレですが、この3つは重要です。次の記事でどういうものか説明するので、今は3つの内訳があることを覚えてください。

    僕がカナダ時代に会計学の講義を受けていたときにしつこく、本当にしつこく言われたのが、

    日本語
    資産 = 負債 + 純資産

    英語だと
    Asset = Liability + Equity

    という式でした。本当にしつこかったですが、今となってはあの時のしつこさがありがたいです。資産は、負債と純資産を足したものなのです。会計をやればやるほど、この式の深さが身に沁みます。このあとに、貸借対照表の内訳のそれぞれについて説明していきたいのですが、結構長くなってしまったので今回はここら辺にしておきたいと思います。

    次の記事:貸借対照表2

    ではでは

    posted by 鈴木明 at 18:46 | [財務分析・企業分析] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

    2014年08月03日

    001江崎グリコまとめ

    財務分析江崎グリコまとめ

    江崎グリコの財務分析を一通り終えたので、各ページにリンクを貼ったまとめページを作成致しました。

    以下のリンクから見れるようになっているので、見たい項目を見ていただければと思います。

    財務分析は終わっているのですが、アウトプットするのに時間がかかってしまいますね。とりあえずまたこれから興味ある企業の財務分析をアップしていきたいと思います。

    ではでは

    posted by 鈴木明 at 15:33 | [財務分析・企業分析] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

    2014年06月03日

    001江崎グリコ指標

    今回は、江崎グリコの財務分析を行ないたいと思います。これまでは

    を行なってきました。今回は会社の能力である
    安全性
    収益性
    成長性
    をより細かく見ていきたいと思います。

    ■安全性(2009~2013)

    ・流動比率

    まずは短期の支払い能力である流動比率の推移を見ていきます。

    101.1%→124.4%→138.9%→136.2%→132.7%

    一般的に数値が200%以上あれば十分な支払い能力を備えている、もしくは100%以下だと危険信号と言われます。江崎グリコの短期支払い能力は高いとは言えませんが、無いという訳でもないという微妙な感じだと言うことができます。

    ・固定比率

    次に固定資産をどれだけ自己資本である純資産でまかなえているかの指標である固定比率の推移を見ていきます。

    115.8%→109.3%→104.0%→106.0%→106.2%

    一般的に100%以下であれば自己資本で固定資産をまかなえているので安全性が高いと言われています。江崎グリコは100%を少し超える程度なので、固定資産を少しだけ借入れでまかなっていると読み取ることが出来ます。

    ・固定資産長期適合率

    次に上記の固定比率に似た指標である固定資産長期適合率の推移を見ていきます。こちらは固定資産を自己資本と長期の借入れでまかなえているかを見る指標になります。

    99.3%→88.0%→83.3%→82.1%→84.0%

    こちらも一般的に100%以下が望ましいとされています。個人的にはもう少し低い数値であるべきだとは思いますが。江崎グリコは100%をきっているので、こちらの安全性は高い水準だと言うことが出来ます。長期の借入れ自体が少ないので、そこまで固定比率と水準が変わりませんね。

    ・自己資本比率

    次に長期的な安全性を示す自己資本比率の推移を見ていきます。こちらは総資本における自己資本の割合を示す指標であり、資産の内どれくらいが返済不要の自己資本でまかなわれているかを示しています。

    51.9%→53.9%→56.0%→51.8%→53.0%

    一般的に50%を超えると安全性が高い企業とされています。ざっくりの方でも説明しましたが、江崎グリコは約半数の資産を自己資本でまかなっています。こちらは数値としては高い方になります。今まで利益剰余金をコツコツ積み上げてきたのだと思います。

    ■収益性(2009~2013)

    ・資産回転率(総資本回転率)

    どれだけ資産を効率よく運用して売上をあげているかの指標である資産回転率の推移を見ていきます。

    1.50→1.42→1.46→1.40→1.34

    一般的に1以上が良いとされていますが、大企業になるほど、つまり資産を積み上げていく程この数値は下がる傾向にあると言われています。江崎グリコも資産の積み上げに対して売上の伸びが追いついておらず、少しずつ数値が悪化しているのが読み取れます。ただ、依然として1以上の数値であるので、効率よく資産を運用しているということができます。

    ・固定資産回転率

    どれだけ効率よく固定資産を運用して売上高をあげているかの指標である固定資産回転率の推移を見ていきます。これは先ほどの資産回転率の固定資産のみに焦点を絞ったものになります。

    2.49→2.40→2.51→2.55→2.37

    一般的に2.5回転が適正だと言われています。江崎グリコは適正に近い数値で推移しているため、過剰設備や設備不足という状態では無さそうです。

    ・利益率分析

    次に、各利益の時点での利益率の推移を見ていきます。

    売上高売上総利益率
    41.09%→43.51%→43.62%→42.53%→42.61%
    売上高営業利益率
    2.22%→4.15%→3.52%→1.63%→1.55%
    売上高経常利益率
    2.49%→4.35%→3.73%→1.81%→2.20%
    売上高当期純利益率
    -0.24%→2.60%→1.43%→0.14%→1.01%

    上記から、2012年を境に急激に営業利益率以下の利益率が悪くなったのが見て取れます。販売費及び一般管理費の内容が悪化していることが読み取れます。東日本大震災の影響でしょうか。

    ・使用総資本経常利益率

    次は資産からどれだけ経常利益を生み出しているかの指標である使用総資本経常利益率の推移を見ていきます。こちらの指標により、企業がどれだけ上手く資産を活用して利益を生み出したかを見ることが出来ます。

    3.73%→6.16%→5.46%→2.53%→2.94%

    やはり東日本大震災の後の年度より急激に数値が悪くなっています。今年度の数値が発表された際に、改善されているか興味がありますね。

    ■成長性(2009~2013)

    2009年を基準として、毎年の売上高や利益の伸び率を見ていきます。

    売上高伸び率
    98.45%→99.83%→102.09%→101.04%
    営業利益伸び率
    184.41%→84.69%→47.40%→95.82%
    経常利益伸び率
    172.10%→85.57%→49.56%→122.80%
    当期純利益伸び率
    -1083.58%→55.07%→9.78%→742.21%

    上記を見ると、売上高の伸びに対して営業利益が減少しているのが読み取れます。実際の数値を見ると、売上原価と販売費及び一般管理費が2012年度から上昇しています。

    これは頑張って売上をあげたのにもかかわらず、利益を残せていない、つまり努力して売上を高めたが、実質それには以前より余計にお金がかかっているという一番無駄が大きくむなしい状態です。経常利益と当期純利益が伸びているので問題無いと思うかもしれませんが、実質これらは本業に関係ないところで操作が可能なので、本業の力を示す営業利益が売上高に付随せずに減少傾向なのは余り良くないのです。

    アメリカ企業のアマゾンのように、利益をひたすらゼロに抑えて投資し続けるような企業は例外として、江崎グリコのような企業で増収減益は早めに手を打つべきだと思います。僕に言われる前に手を打っていると思いますが。

    以上で、江崎グリコの指標による安全性、収益性、成長性の分析を終わります。これにて江崎グリコの分析は一旦終了します。

    ではでは。

    ■注意点
    *財務分析ではBSの数字は期末と期首の平均値を使用するのが一般的な場合がありますが、こちらの財務分析では計算の簡易化のために全ての計算において期末のBSの数字のみを使用しています。

    *計算の簡易化のため、自己資本=BSの純資産合計としています。

    *金額単位は、百万円となっております。

    追記:まとめました。
    江崎グリコまとめ

    posted by 鈴木明 at 07:32 | [財務分析・企業分析] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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