2015年04月17日

企業分析:明治ホールディングス

今回は、就職人気ランキングでも上位に入ることが多い、明治HDの企業分析を行いたいと思います。

<明治HD>

平成20年に明治製菓株式会社と明治乳業株式会社が経営統合することによって生まれた会社。お菓子や乳製品を扱う「食品事業」と、医薬品を扱う「医薬品事業」の2つの事業を展開しています。ちなみに食品事業は株式会社明治、そして医薬品事業はMeiji Seikaファルマ株式会社が行っており、それを束ねるのが明治HDとなっています。

<社員数・年収>

2014年3月期の有価証券報告書によると、従業員巣が連結で15,033名であり、単体で34名となっています。平均年齢は43.6歳であり、平均年収は971万円となります。非常に高給取りに見えますが、これは単体の34名の平均だと思います。HD(ホールディングス)というのは会社を束ねる会社のようなもので、ここに平均給料が高い人材が集中しているということだと思います。わかりにくいのでHDのシステムはやめてほしいものです。

<会社の評判など>

企業の情報を知ることができる転職サイト(転職会議)によると、2015年3月の時点での明治HDの評価は以下のようになっています。(明治HDのものがなかったので、株式会社明治とMeiji Seikaファルマ株式会社の評判を直接確認しました。

  • 株式会社明治:5点中4.0点:回答人数73人
  • Meiji Seikaファルマ株式会社:5点中4.8点:回答人数166人
  • 両者とも高いですが、特に医薬品事業であるMeiji Seikaファルマ株式会社の評価が、回答人数が多いのにも関わらず非常に高いですね。もう一つのサイトであるVORKERSの社員による会社評価は、以下のようになっています。

  • 株式会社明治:5点中3.5点:回答人数20人
  • Meiji Seikaファルマ株式会社:5点中3.5点:回答人数13人
  • こちらは転職会議と比べて点数は落ちますが、VORKERSは比較的厳しめに点数が付くので、個人的にはやはり評価は高いのだな、という印象を受けました。つまり、従業員の会社への気持ちはなかなか良好だと推定できます。

    <経営トップ>

    次に、経営トップについてみていきたいと思います。明治HDのIRサイトを見てみると、最近経営トップに交代があり、現在は代表取締役会長に浅野茂太郎さんが、代表取締役社長には松尾正彦さんが就任しているようです。

    ・代表取締役会長:浅野茂太郎さん
    1943年9月17日生まれ(72歳)。学習院大学法学部を卒業後、明治HDに統合される前の明治乳業に入社。販売企画部長、取締役、専務、副社長を経て、2003年に社長。2009年に明治HDが設立されて副社長。HD傘下の株式会社明治の社長などを経て、2012年に明治HD社長。2014年に会長。

    ・代表取締役社長:松尾正彦さん
    1946年8月7日生まれ(69歳)。慶應義塾大学経済学部を卒業、明治HDに統合される前の明治製菓に入社。執行役員薬品国際事業本部長、取締役薬品生産本部長・薬品国際事業本部長、専務、Meiji Seikaファルマ株式会社の社長を経て、2014年に社長。

    どうやら社長の松尾さんは海外経験が豊富なようです。明治HDとしては今後、縮小する日本市場に加えて、海外の市場を狙っていくということなのだと思います。そういえばタイに旅行で行った時に、コンビニには普通に明治の製品が置いてあったことを思い出しました。会長がどれほど会社の経営に口を出しているのかはわかりませんが、今後の明治の方向性に海外が組み込まれているのは間違いなさそうです。では、次に財務諸表の分析に入っていきたいと思います。

    <使用するデータ>

    今回の財務分析を行うに当たって、使用するデータは2010年3月31日〜2014年3月31日の有価証券報告書になります。

    ※分析を開始するにあたって、資本主義の原則に従って、会社は株主のモノというスタンスで分析します。

    <明治HD分析:ざっくり>

    まずは、明治HDの活動をざっくりと分析してみます。様々な本にも記載されていますが、企業の経営活動とは突き詰めると3つに集約することができます。それは

  • お金を集める
  • 集めたお金を運用し売上を生み出す
  • 売上から利益を残す
  • この3つの活動をどのレベルで明治HDが行っているのか、時系列でみていきたいと思います。まずは最初の「お金を集める」の段階です。明治HDどのようにお金を集めているのかを「自己資本比率」という指標を使ってみていきたいと思います。

    <明治HD:自己資本比率>

    2010 2011 2012 2013 2014
    40.8% 41.0% 39.8% 40.8% 42.1%

    となります。自己資本比率とは、簡単に言うと「今持っている持ち物のうち、株主の取り分を示す割合」となっています。例えば資産100億の会社の自己資本比率が1%の場合、株主の持ち分は1億円で、残り99億円は借金で手に入れたモノということになります。

    具体的にいうと、例えば僕が車や家、豪華なインテリアなど、総額100億円分の資産を持っているとします。すごく裕福に見えますが、そのうちの99億円を銀行から借金してそれらの車や家を購入しているとしたらどうでしょうか。「こいつ、返済計画とか大丈夫か?」となると思います。さらに深く突っ込むと、これらの家や車、インテリアなどは返済が終わるまで「銀行のモノ」になるのです。そのため、自己資本比率が高い会社は安全性が高く、逆に低い会社は安全性が低いと言われます。

    明治HDの自己資本比率は大体40%前後で推移していますね。2014年の資産の金額は785,513百万円、つまり約7,855億円なので、このうち3,142億円分が株主のモノで、4,713億円分が借金で賄われているということです。ちなみに、自己資本比率の理想は50%と言われているので、明治HDは少しだけ借金に依存しているということができます。

    次に、企業活動の次の段階、「集めたお金を運用して売上を生み出す」についてみていきたいと思います。これには「総資産回転率」という指標を使用します。

    <明治HD:総資本回転率>

    2010 2011 2012 2013 2014
    1.52 1.56 1.48 1.43 1.47

    となります。大体1.5回転あたりで推移していますね。これは「持っている全ての持ち物をどれくらいうまく使用して売上を上げているか」を測る指標になります。例えば1.5だとすると、資産が100万円だとすると1年で150万円の売り上げを上げたことになります。つまり、持っているものをグルグルとうまく使ってより多くの売上を上げると、この数字はより高くなるということです。逆に、ほとんど売上を生まないような非効率な資産ばかりだと、この回転率は非常に悪くなります。

    こちらの指標は、1.0くらいあればまぁ良いのではとされているので、明治HDは1.5をあるので有効に資産を活用しているということができると思います。菓子業界のような数を売って稼ぐような業界ではこの指標は高くなる傾向にあると思いますが、効率性は高いと考えてもよさそうです。

    次に、企業活動の次の段階「売上から利益を残す」についてみていきたいと思います。これは、「売上高当期純利益率」という指標を使ってみていきます。

    <明治HD:売上高当期純利益率>

    2010 2011 2012 2013 2014
    1.22% 0.86% 0.64% 1.50% 1.65%

    となります。「え?低すぎ・・・」という感想になってしまいました。これは低い。びっくりしました。大体1%前後で推移していますが、低い。何度も言いますが業界トップレベルの企業としては低いです。この指標は「売上高からどれだけ利益として株主に残すことができたか」というものになります。例えば1%で考えると、100円のヨーグルトを売ったとして、最終的に株主のもとに残るのは1円ということになります。

    これは推測ですが、きっと会社に多くの無駄が残っているのだと思います。利益を生まない会議や社内調整などが多く、全然働かない従業員にもまんべんなく給料を支払っているという可能性もあります。良くも悪くも、古き良き日本企業から脱しきれないのかもしれません。全部推測なので、損益計算書の推移や他社との比較が必要ですが。

    最後に、株主から見て明治HDはしっかりとリターンを期待できるのかということを見ていきたいと思います。これには「ROE」という指標を使います。

    <明治HD:ROE>

    2010 2011 2012 2013 2014
    4.5% 3.3% 2.4% 5.3% 5.8%

    この指標も少しずつ改善はしていますが、常に高い数字を生み出しているとは言えないですね。これは、株主が投資した分に対して、どの程度のリターンを生むことができたかということを表していています。例えば2014年で見ると、株主が仮に100万円を投資したら、2014年度は5.8万円のリターンを生むことができました、ということです。

    <明治HDまとめ>

    まとめると、明治HDの企業活動は、ほんの少し借り入れに依存しながら資産を集め、それらの資産を効率よく売り上げに変えているが、そこから利益を残すのがそこまで得意ではない企業だと推測できます。そのため、まだまだ株主資本に対するリターンの割合も高くない水準で推移しています。

    業界トップの明治でさえこの水準と考えると、それ以下の食品業ではもっと悲惨なことになっているのでしょうか。ちょっと食品業界の企業についていろいろ調べてみたくなりました。

    以上で、明治HDの企業分析を終わりたいと思います。

    ではでは

    posted by 鈴木明 at 19:44 | [財務分析・企業分析] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

    2015年04月16日

    USCPAよくある質問

    今回は、USCPAに関して、よくされる質問(僕が疑問だったことを含める)について回答していきたいと思います。

    Q:数学が出来ないとダメじゃないか

    A:全然問題ありません。勉強中でも試験本番でも、電卓が使用可能です。四則計算(足し算、引き算、かけ算、割り算)が出来ればほとんどOKです。何の自慢にもなりませんが、僕は高校の時、数学のテストで100点満点中10点以下を取ったこともあります。

    大学受験の科目は、英語、国語、世界史だったので問題はなかったのです。自分は数学が出来ると考えたことはありません。事実、数学は全くできない部類に入ると思います。実は未だに数式によく出てくるアルファベットの記号を見るのは結構苦手だったりします。そのうち慣れてくれれば良いのですが。

    Q:英語が出来ないとダメじゃないか

    A:ハッキリ言ってしまうと、ある程度は出来た方が良いと思います。というより、ある程度出来た方が楽に勉強を進めることができます。僕の感覚ですがTOEICのスコアが700点程度あれば、そこまで苦痛を味わうことが無いと思います。

    USCPAはむしろ、英語を学ぶのでは無く、英語で何かを学ぶ重要さがわかる貴重な機会になると思います。英語で何かを学ぶ経験は、英語力とは何かを考える上で一度は経験しておくと良いと思います。漠然と英語を勉強するのであれば、たとえUSCPAでないとしても、英語で何かを学んだ方が圧倒的に効率的だと思います。

    Q:合格までどれくらいの時間がかかるのか

    A:人によって差があると思います。ですが、僕は1科目につき3ヶ月で300時間、集中して学ぶことができるのであれば合計1年、時間にして約1200時間で合格出来ると考えています。しかし、英語がそこまで出来なくて、簿記も全く知らないと言う人はもう少し時間がかかると思います。詳しくはこちらをどうぞ

    Q:転職に有利か

    A:その人のバックグラウンド、どこに応募するかなどに依存すると思いますが、僕は有利になると考えています。僕自身、転職は勉強開始の時点からゆっくりと行ないましたが、USCPAに合格した後に、書類選考の通過率は非常に良くなりました。

    自分なりのUSCPAの意義や、取得した理由、今後のキャリアなどをしっかり落とし込めると転職のアピールとして強いと思います。ただし、USCPAがあれば何の問題もなく転職できるというわけではありません。

    Q:独学でも大丈夫でしょうか

    A:相当厳しいと思います。「絶対に無理か」と言われればそんなことはないと思いますが、非常に遠回りになってしまいます。例えばUSCPAの受験に対する敷居を上げているものに、「申し込みまでの手順」があります。予備校を利用すればここの手順の部分が全てクリアになるので、心理的負担も減少します。もちろん勉強の最短ルートもたどることが出来るので、僕は予備校を選択することをお勧めします。

    僕たちの時間は有限です。出来る限り短い時間で最大の効果を得る方法を選びましょう。ちなみに僕は予備校の金額を確か12回払いで支払い、毎月のキャッシュフローがマイナスになるという貧困時代を1年間経験しました。あれは今思うと精神衛生上、非常にきつかったです(笑)。

    Q:通学と通信、どちらが良いと思いますか

    A:田舎に住んでいたのでそうせざるを得ない事情もありましたが、僕は通信派です。特に最初に全ての講義を一括で送ってくれる予備校を探しました。理由は、全ての講義を一瞬で全て見終わり、全体像を掴む(結局どの程度の範囲なのか、難易度はどの程度か等)ことが重要だと思ったためです。

    通学になると、授業の時間が決まっているので、ついていけない場合や授業のペースが遅いと感じる場合、挫折に繋がると思います。もちろんこれは人によると思いますが、自分のペースでやりたい人は通信、しっかりと決められた時間でやりたい人、または勉強仲間などが重要と思う人は通学で良いのでは無いでしょうか。

    ちなみに僕が通信を選んだ最大の理由は、僕が勉強している場所が田舎だったからです(笑)。しかし、もし当時東京に住んでいたとしても、通信を選んだと思います。DVDであれば倍速で講義を進めることができますから。

    Q:試験会場ってどんな感じですか

    A:僕が知っているのはハワイと大阪のみですが、以下のようになっています。

    以上になります。また、何か聞かれることや思いつくことがあれば順次追加していきたいと思います。

    ではでは

    posted by 鈴木明 at 17:15 | [USCPA情報あれこれ] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

    2015年04月15日

    財務諸表解説まとめ

    今まで財務諸表の解説を行ってきました。正確にはほとんど貸借対照表の解説なのですが、今回はその解説ページのまとめページを作成しました。

    財務分析の初心者がまずやるべきことは、財務諸表にはどのようなことが書かれているのかの意味をざっくりと理解することだと思います。そして、会計の専門用語を使うと一気にそれが困難になると考えています。

    財務諸表とは一見難しいことが書いてあるように思えますが、下記に解説してあるようなものだと理解すれば、企業がどのような状態なのかを判断するにはそこまで難しいものではないと思います。では、以下に各解説ページがありますので興味のある方はご確認ください。

    貸借対照表
    まずは貸借対照表とは何かについて初歩的なことを書いています。ただ、この時点で会計の用語が連発しますので、わからなければさくっと見る程度で大丈夫です。

    貸借対照表の内訳
    貸借対照表の内訳についてどのようなものかを書いてあります。資産、負債、純資産とはどのようなものかについて知りたい方は、こちらをご覧ください。

    貸借対照表:資産の部・流動資産
    貸借対照表の資産の部のうち、流動資産についてどのようなものがあるかを記載しています。会計の専門用語をできる限りわかりやすくしてみました。

    貸借対照表:資産の部・固定資産
    貸借対照表の資産の部のうち、固定資産についてどのようなものがあるかを記載しています。こちらも、会計の専門用語を実際の具体例にあげています。

    貸借対照表:負債の部・流動負債
    ここからは貸借対照表の負債の部になります。その中でも、流動負債について具体的に説明してみました。すぐ返す借金、というものです。

    貸借対照表:負債の部・固定負債
    貸借対照表の負債の部のうち、固定負債について記載しています。長期間返さなくても良い借金のことになります。

    貸借対照表:純資産の部・株主資本
    貸借対照表の純資産の部の説明になります。ここはわかりにくい人が多いと思いますが、資本主義の正解では株式会社は「株主のモノ」という視点を持てば何となくつかめると思います。

    貸借対照表:純資産の部・その他の包括利益
    貸借対照表の純資産の部のうち、その他の包括利益の説明になります。ハッキリ言って財務分析の初級者を目指すのであればここはスルーでも良いかもしれません。

    貸借対照表:簡単に表示
    以上の貸借対照表の説明を踏まえて、実際にどのようなことが書いてあるのかを比較して表にしてみたのがこちらになります。

    損益計算書:損益計算書について
    損益計算書の説明になります。1年間の企業の成績表という位置づけで、良く見ると名前にちゃんとした意味づけがされているのがわかります。

    キャッシュフロー計算書:キャッシュフロー計算書について
    最後にキャッシュフロー計算書についてです。こちらは営業・投資・財務のキャッシュフローがそれぞれどの組み合わせになっているのかを判断するのが一番初心者には良いと思います。

    以上になります。少しでも財務分析に役立てていただければ幸いです。

    ではでは

    posted by 鈴木明 at 17:40 | [財務分析・企業分析] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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