2015年03月22日

一橋大学優秀論文発表会兼説明会

先日、一橋大学大学院の優秀修士論文発表会兼説明会があるとのことでしたので、早めに仕事を終わらせて見に行くことにしました。少しでも大学院ではどのようなものが評価さえているのかということと、実際に国立の大学はどのような雰囲気かを知りたかったためです。よく言うと自分がお金と時間を投資してまで行く必要があるのかを判断するために行ったということになります。結論から言うと、この発表会兼説明会には参加して良かったと思っています。そこで、発表会と説明会についてそれぞれ書いていきたいと思います。

<優秀論文発表会>

【会場状況】
まず会場の状況についてですが、1つの会場で2部屋を使用して発表会を行っていました。1つの部屋ではバリバリ金融工学のモデルなどに関連したことの内容を発表しており、もう1つの会場ではどちらかというと会計寄りのコーポレートファイナンス関連の論文を発表していました。僕は後者のコーポレートファイナンスのほうに迷わずに入りました。全く理解できない分野の論文を聞いてもいろいろ判断しにくいですから。この発表会は平日の夜に行われていたので、個人的には人が全然いないだろうと思っていたのですが、意外に(失礼か)40名弱もの人がいて驚きました(もう一つの部屋は不明)。年齢層はバラバラで、20代に見える人もいれば50代くらいに見える人もいました。男女比はみたところ7:3〜8:2で男性の方が多いといったところです。

【論文について】
そして肝心の論文に関してですが、ひとつひとつを取り上げて紹介はしませんが、紹介された論文に共通する骨格のようなものが見えました。プレゼン用に凝縮したもので発表していましたが、それぞれの論文は以下のような構成になっていることがわかりました。

  • 表題
  • 仮説設定
  • 先行研究
  • 使用する言葉の定義など
  • 使用するデータ・サンプリング対象など
  • 分析に使用した手法
  • 仮説検証・分析
  • 場合によっては追加検証・分析
  • 結果
  • まとめ・考察
  • なるほど、と個人的には思いました。実は大学時代は後半に交換留学を行っていた理由によりゼミには所属せず、卒業論文といったものをしっかりと体系立てて完成させたことがなかったのですが、どのように進めるべきなのかがなんとなく分かったような気がしました。もちろん上記の骨格でサクサクと進むわけがないのですが、上記の形に添って論文を進めるのが一つの定石と考えても問題はなさそうです。

    【感想】
    この発表会をみた感想なのですが、上記のように論文をどのように進めればよいかがさっぱりわからなかった僕としては、その不明な部分に少しでも光を当てられたことで既に十分以上の価値を得ることができました。仮に出願するとすれば、上記の形を少しでも見せられるような書類を準備すればよいのだろうと感じました。

    また、各発表者がプレゼンで僕が全く想像もできないような分析手法(主に統計的な話)を駆使して分析を行っていたのが印象的でした。このような統計的な手法に関しては過去に本を読んで知ったつもりになっていましたが、実際に手法を使用してなにかを行うという行為は今まで未経験なので、金融のフレームワークとともにその分析手法を身につけに行くのもありではないかと感じました。

    上記とは逆に、会計的な話に関しては大体理解することが出来ました。あらためて会計に関する知識のバックグラウンドは強いことを認識しました。むしろ、上記のような分析を行って一つの仮説を検証しようとする場合、会計の知識の前提が無ければ達成しえない、つまり最低限(簿記2〜3級程度、それ以上であれば尚可)の会計の知識は必須なのではないかと感じました。講義にアカウンティングなどもありますが、まずは会計の知識があればスタートで出遅れる可能性は低いのだろうと思います。

    <大学院説明会>

    【説明会状況】
    次に、発表会のあとにあった説明会について書いていきますが、こちらは30分程度の時間しかなかったので、普通に6月4日に予定されている入試説明会に参加したほうが大学院に対する深い理解を得られると感じました。参加していた人は40名弱で年齢層は様々、そして男女比はみたところ7:3〜8:2という状態でした。発表会とほとんど同じです。ただ、発表会は2つの部屋で行われていたので約半数が帰ったのですが、説明していただいた教授も仰っていたとおり在学生もたくさん発表会に参加していたのでしょう。

    【早稲田との比較】
    説明会に参加してみて、一橋大学の大学院は早稲田と比較してみると非常にわかりやすいような気がしました。そこで、下記に個人的に感じたことを列挙してみようと思います。

    ・理論と実践
    教授のバックグラウンドを見る限り、理論と実践の比率で行くと明らかに理論寄りだと感じます。一橋大学は理論と実践のバランスが良いという宣伝を行っていますが、ここは理論寄りだろうと僕は思います。教授のバックグラウンドで実務経験者が多いのはやはり早稲田の方だと思います。教授の数が違うという点を考えれば単純比較は危険だし、実務経験は他の生徒や自分の業務で十分だという考えを持てば、ここに重点を置く必要はないと考えられますが。

    ・人数比率
    一橋大学は定員が40名程度です。これに対し教員が9名であり、5〜8名に対し1名の教員という話をされていました。これは非常にメリットだと思います。少しでも組織を動かす立場を経験すればわかりますが、10人を超えると一気にマネジメントが難しくなるとおみます。この人数でゼミに取り組めば、密度の濃い学習が可能な気がします。逆に早稲田のほうは定員が100名以上と多く、このような密度を達成するのは容易ではないと考えられます。必然的に、講義スタイルが一般的になると考えられます。

    ・修士論文
    一橋大学は論文の提出が必須のようです。これも上記の人数比が可能にしているのでしょう。この論文に対して真剣に向き合い、教員のノウハウをしっかり吸収することが出来れば、数年である程度の知識までたどり着くことができそうです。早稲田は論文が必須ではなかったと思います。講義を受けて修了できるので考えようによっては楽ですが、何か形を残したいのであれば論文を書くのが効果的だと思います。

    ・計量分析
    僕が発表会で驚いたのは、各発表者が普通に統計的な分析を用いて論文を組み立てていたことです。個人的なイメージでは、文系の人はそこまでデータにこだわらないという印象がありました(すいません、僕です)。つまり、僕に全く足りていないあのような手法が身に着けられるとすれば、論文を通して身に着けたいと感じました。この点は早稲田に関しては不明です。

    ・雰囲気
    ここは表現するのが非常に難しいですが、やはり一橋は国立の雰囲気、早稲田は私立の雰囲気があります。僕の大学は私立なので、早稲田の雰囲気はなんとなく懐かしかったのですが、一橋の雰囲気は新鮮なものがありました。

    ・費用
    やはり国立は費用が安いです。びっくりしました。卒業までの金額を比較すると、倍以上の差額が発生してしまいます。僕も社会人になって、お金を貯めるのがいかに大変か、そして奨学金を返却するのがいかに大変か、身をもって知ることになったので、この点も非常に重要だと感じます。

    以上が簡単な比較でしょうか。一橋の発表会のあとなので一橋寄りな内容になっていますが、今回は説明会の内容がそこまで深くなかったため、6月4日の入試説明会には参加しようと考えています。

    うーん。英語と会計と統計を身につければもっと良い相乗効果があると思うのですが、迷います。参考に、早稲田の説明会に参加したあとの記事のリンクを貼っておきます。なんか今になって読み返すと別人な感じがします。笑

    参考:早稲田ファイナンス大学院説明会

    ではでは

    posted by 鈴木明 at 16:45 | [徒然日記] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

    2015年03月17日

    財務諸表解説〜貸借対照表編6〜

    財務分析のための財務諸表解説、今までは貸借対照表と、その内訳である資産とその中の流動資産と固定資産、そしてもうひとつの内訳である負債とその中の流動負債についてみてきました。

    貸借対照表
    貸借対照表の内訳
    貸借対照表:資産の部・流動資産
    貸借対照表:資産の部・固定資産
    貸借対照表:負債の部・流動負債

    今回も、貸借対照表の負債の部についてみていきたいと思います。

    *再度書きますが、これらは財務分析を行うために思いっきり簡素化しているので、仮に試験などで回答する際はちゃんとした定義で答えてください。

    さて、今回は負債ということで、以前に記載した記事の中からもう一度、貸借対照表における負債とはどのようなものなのかについて確認していきます。

    <負債とは>

    再度の確認になりますが、貸借対照表における負債とは、簡単に言うと以下のようなものになります。

  • 「どのように資産を手に入れたのかリスト」の
  • 「他人からの借り入れの部分」
  • を負債と言います。まぁ平たく言えば借金のことです。もう少し具体的に言うと、「企業がいずれ返済する必要があるもの」が負債ということになります。

    現段階では、「どのように資産を手に入れたのかリスト」、という箇所の意味がわかりにくいと思いますが、そんな場合はとりあえず「借金」と覚えていただければ大丈夫です。では、今回は負債の部の中でも、固定負債についてみていきたいと思います。今回も実際に見ていくのは江崎グリコの平成25年3月31日の有価証券報告書の貸借対照表になります。

    <貸借対照表:負債の部>

    前回確認した流動負債の下を見ていくと、固定負債という内訳があると思います。前回説明した流動負債は「1年以内に返済が必要な借金」でしたが、今回説明する固定負債とは「1年以上返済を待ってもらえる借金」ということになります。重要なのは、返済期間が長くても借金は借金だということです。つまり、いずれは絶対に返済する必要があります。

    では、さっそく江崎グリコの固定負債についてみていきたいのですが、なんとあまり勘定科目がないです。その他を入れて4つしか固定負債がありません。そのため、一般的な固定負債にあげられるものをピックアップして説明していこうと思います。

  • 長期借入金
  • 社債
  • 退職給付引当金
  • 固定負債は数が少ないので、これくらいを知っておけば問題ないと思います。では、それぞれ説明していこうと思います。

    <長期借入金>

    名前の通りですが、「長い期間、返済を待ってもらえる借金」です。例えば、銀行から5億円を10年後の期間で借りればここに該当します。個人の生活でイメージしやすいものとすれば、住宅ローンがあげられます。5000万円の家を35年ローンで買いました。という人は、会計的に見れば以下の行為を取っていることになります。

    「5000万円を35年の長期借入金で資金調達し、資産である不動産を購入した」

    この資産と思われる自宅が一切の利益を生まない点が問題なのですが、ここでは財務諸表と関係ないので深堀はしません。とにかく、長期借入金とは返済期日が1年を超える借金と思っていただければ大丈夫です。ちなみに、この長期借入金の返済期日が残り1年未満になったときに、前回説明した流動負債である、「1年以内返済予定の長期借入金」に移動します。固定負債から流動負債に移動するということです。返済日が近いので、十分な現金を用意していないと大変なことになりますね。

    <社債>

    江崎グリコの固定負債にはありませんが、「社債」というものも代表的な固定負債になります。社債とは、会社が直接市場から資金を調達する際に発行するものになります。意味不明ですね。先ほどの長期借入金と比較するとわかりやすいので、もう少し具体的に説明します。

    先ほどの長期借入金は、一般的には銀行からの借金になります。そして、利子をつけて銀行にお金を返します。つまり、銀行を通してお金を調達しているものになります。それに対して社債とは、会社が銀行を通さずに直接お金を借りることになります。イメージしやすいように、以下に例を書いてみます。

    A株式会社は、工場を建設しようとしたところ、100万円が必要と判明しました。そこで、以下のようなものを発行して、資金調達することになりました。

    「100万貸してくれたら10年後に110万円で返す券」

    上記のような債券を、証券会社を通して直接投資家に販売します。これを投資家サイドから見れば10年後に(A株式会社がつぶれていなければ)110万円を手に入れる券を今100万円で購入することになります。A株式会社サイドから見れば、10年後に110万円を返済する義務を負って、今100万円を手に入れることができます。A株式会社はその100万円を使って、10年で110万円以上にできればその分は儲けとなります。

    少し長くなりましたが、この「100万円貸してくれたら10年後に110万円で返す券」を社債と思ってもらえれば大丈夫です。つまり、銀行ではなく投資家からお金を借りるということです。上記の説明が意味不明であれば、簡単に「投資家からの借金」と思っていただければ大丈夫です。

    <退職給付引当金>

    流動負債のところでも出てきましたが、これも「引当金」の一種になります。繰り返しになりますが、引当金とは、「将来的に発生しそうな費用を今のうちに見積もっておくもの」になります。退職給付引当金に関しては以下のようになります。

    A株式会社には、愛車精神にあふれた従業員が働いています。A株式会社の経営陣は、そんな従業員のために退職金制度を自社で用意しています。ここではわかりやすくするために、30年働いた従業員が退職する際には3000万円を退職金として支払う退職金制度を用意しているとします。全ての従業員はA株式会社で30年しか働くことができないと仮定します。すると、勤続30年を迎えた社員は3000万円をもらって退職することになります。つまり、ひとりの新入社員が入社すると、毎年100万円分の引当金を用意する必要があるということです。30年間100万円を引き当てていくと、30年後には3000万円分の引当金が積み上がり、実際に退職金を支払う時には引当金がなくなるということです。

    ここで重要なのは、実際に現金を積み上げていっているわけではないということですが、それを説明すると会計の話になって意味不明になってくるので、とりあえず退職給付引当金は

    「将来、従業員が退職するときに支払う退職金の金額」

    と覚えてもらえば大丈夫です。言い方を悪くすると、従業員に対する借金です。僕もサラリーマンなので、退職金分は会社が積み立てるのではなくて。給料として今すぐに支払ってほしいのです。来年はどうなっているかわからないし、今すぐその分のお金をもらって自分で運用した方が良い結果が得られると思いますから。しかし、こういう制度があるので仕方ないですね。

    以上が、「企業のどのように資産を手に入れたのかリスト」であり、「借金」である負債の固定負債の説明になります。簡単なものに置き換えると、以下のようになります。

    <負債の部:固定負債簡単編>

  • 長期借入金:銀行からの1年以上返さなくて良い借金
  • 社債:投資家からの1年以上返さなくて良い借金
  • 退職給付引当金:従業員へ将来払う退職金の総額
  • 固定負債というとわけがわかりませんが、長い期間返す必要がない借金のことになります。ただ、いずれ絶対に支払う必要がある義務のことなので、ここが巨額だと企業としては安定性に欠けると言わざるを得ません。これにて、負債の部の固定負債の説明を終わりたいと思います。次は、純資産の部についてみていきたいと思います。

    次の記事:貸借対照表:純資産の部

    ではでは

    posted by 鈴木明 at 21:38 | [財務分析・企業分析] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

    2015年03月15日

    財務諸表解説〜貸借対照表編5〜

    財務分析のための財務諸表解説、今までは貸借対照表と、その内訳である資産のうち、流動資産と固定資産についてみてきました。

    貸借対照表
    貸借対照表の内訳
    貸借対照表:資産の部・流動資産
    貸借対照表:資産の部・固定資産

    今までは資産の部についてでしたが、今回からは、貸借対照表の負債の部についてみていきたいと思います。

    *再度書きますが、これらは財務分析を行うために思いっきり簡素化しているので、仮に試験などで回答する際はちゃんとした定義で答えてください。

    さて、今回は負債ということで、以前に記載した記事の中からもう一度、貸借対照表における負債とはどのようなものなのかについて確認していきます。

    <負債とは>

    貸借対照表における負債とは、簡単に言うと以下のようなものになります。

  • 「どのように資産を手に入れたのかリスト」の
  • 「他人からの借り入れの部分」
  • を負債と言います。つまり、平たく言えば借金のことです。もう少し具体的に言うと、「企業がいずれ返済する必要があるもの」が負債ということになります。

    現段階では、どのように資産を手に入れたのかリスト、ということがわかりにくいと思いますが、そんな場合はとりあえず借金と覚えておけば大丈夫です。では、さっそく負債の部の内容についてみていきたいと思います。今回も実際に見ていくのは江崎グリコの平成25年3月31日の有価証券報告書の貸借対照表になります。

    <貸借対照表:負債の部>

    貸借対照表の負債の部を見ていくと、一番上に「流動負債」とあります。これは以前にも説明しましたが、「1年以内に返済しなければならない借金」ということです。つまり、この中に記載があるものは、ほぼ全て1年以内に支払が必要なものリストということになります。ではひとつずつ見ていくことにしますが、ここでも金額が大きい重要なものを中心に取り上げようと思います。

  • 支払手形及び買掛金
  • 短期借入金
  • 1年以内返済予定の長期借入金
  • 未払費用
  • 未払法人税等
  • 販売促進引当金
  • 流動負債で重要となるのは上記のようなものになります。では、それぞれ説明していこうと思います。

    <支払手形及び買掛金>

    こちらは資産の部にあった「受取手形及び売掛金」の逆バージョンなのですが、同じく2つの勘定科目がまとめられていますので、「支払手形」と「買掛金」に分けて説明していきます。順序が逆になってしまいますが、わかりやすい「買掛金」から説明していきます。

    ・買掛金
    簡単に言うと、「あとでお金を払う義務」です。仮に僕がエンピツを売る商売を営んでいて、あなたからエンピツを100万円分、仕入れるとします。そのとき、あなたから請求書をもらいます。その請求書には「代金100万円は翌月末までにお支払いください」と記載されています。つまり、僕は「翌月末までにあなたに100万円を支払う義務」があります。これが買掛金100万円の状態です。「あとでお金を支払う義務」と覚えると楽です。

    ・支払手形
    これは買掛金のしっかりしたバージョンになります。「あとでお金を支払う義務」であることには変わりはないので、買掛金とはそこまで違いがありません(そのため、まとめて貸借対照表に記載されています)。手形が存在することが特徴で、先ほどの例でいうと、エンピツを僕が仕入れた際に、あなたが「手形頂戴」と言って僕が「翌月末までに100万円払います」という手形を発行し、あなたに渡します。するとその義務は支払手形となるのです。まぁこちらも、「あとでお金を支払う義務」と覚えれば大丈夫です。

    <短期借入金>

    名前の通りですが、「短い期間で返済が必要な借金」です。例えば、銀行から100万円を6か月の期間で借りればここに該当します。

    <1年以内返済予定の長期借入金>

    こちらはも名前の通りになるのですが、長い期間借りていた借金の期日が1年以内となった場合に、こちらに該当します。例えば、銀行から1000万円を10年後に返済する契約で借りていたとして、あと1年以内に返済期間が来た場合は、こちらに記載する必要があります。名前は違いますが、「1年以内に返済が必要な借金」という点では短期借入金と同じです。

    <未払費用>

    未払費用とは、この貸借対照表を作成した日の時点で、あとで支払うことが決まっている部分をこの時点で費用として計上しておくための勘定科目になります。契約などによって後で支払うことが決まっている義務ということになります。こういう書き方をするとわかりにくいので、例で説明します。

    僕はエンピツビジネスのために、Aさんを雇用しています。Aさんは非常に優れたビジネスマンのため、月給が200万円もあります。ただ、給料日は毎月15日だとします。すると、貸借対照表を作成する日は月末なので、15日に支払ってから月末(作成日)まで、つまり16日から30日まで月の半分は働いてもらっているのに給料を支払っていません。この時点で、給料の半分(100万円分)はすでに働いてもらっているのにも関わらず、支払はまだ先の話(15日)となっています。そこで、月末時点で15日分の給与100万円分未払費用として計上することになります。

    もちろん、上記の給与の例以外にも様々なものが未払費用に当てはまります。それにしても、江崎グリコの場合、未払費用が200億円以上もあるんですが、一体何なんでしょう。不思議です。

    <未払法人税等>

    こちらも読めばそのままなのですが、未払いの法人税等(法人税、住民税、事業税のこと)になります。こういった税金は確定申告のときに支払うので、貸借対照表を作成する時点ではまた支払う必要がありません。なので、あとで税金を支払う義務ということで「未払法人税等」という形で貸借対照表に乗せておきます。つまり、「あとで払う税金」です。

    <販売促進引当金>

    この科目そのものではなく、「引当金」という箇所に絞って説明したいと思います。引当金とは、「将来的に発生しそうな費用を今のうちに見積もっておくもの」になります。これも想像しやすいように、例を使って説明します。

    株式会社エンピツはエンピツビジネスの販売促進として、「エンピツポイント」というポイントを会員に付与しています。1本のエンピツにつき1エンピツポイントがつき、そのポイントでまたエンピツを買う際に支払いが可能というものです。こうすることで、株式会社エンピツは自社のエンピツに顧客ロイヤルティを獲得することに成功しています。今年の決算のタイミング、つまり貸借対照表を作成するタイミングで、残ったポイントは100万ポイントだと判明しました。この時点で、株式会社エンピツは「販売促進引当金」として100万円を計上することにしました。

    こういった際に使われるのが、引当金という勘定科目になります。こちらも、形式は直接支払う形ではないにしろ、「あとで支払う(値引きする)義務」というものになっています。

    以上が、「企業のどのように資産を手に入れたのかリスト」であり、「借金」である負債の流動負債の説明になります。簡単なものに置き換えると、以下のようになります。

    <負債の部:流動負債簡単編>

  • 支払手形及び買掛金:あとで支払う義務
  • 短期借入金:1年以内に返す借金
  • 1年以内返済予定の長期借入金:1年以内に返す借金
  • 未払費用:あとで支払う費用
  • 未払い法人税等:あとで支払う税金
  • 販売促進引当金:あとで値引きする義務
  • こう見ると、負債は企業の借金ということが良く分かります。これにて、負債の部のうち、流動負債の説明を終わりたいと思います。次は、負債の部のうち固定負債についてみていきたいと思います。

    次の記事:貸借対照表:負債の部・固定負債

    ではでは

    posted by 鈴木明 at 21:58 | [財務分析・企業分析] | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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